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人は常に心の中に"想い"を持ち歩いている。
その"想い"は時に"願い"として訴えていたり
"希望"として描かれ そして創造される。
"願い"にはいくつもの種類がある
"欲望"の"願い"から、助けを求め必要とする"願い"まで
心の道に迷っい閉ざされた状態から開放されたいと願う"叫び"もある
緊急を要するものとそうでないものもある
人によっては必要な苦しみや"葛藤""悲しさ"もある
何かに気付く為のプロセスとして…
その"願い"を聞き取っていても
その『何か』が受け取れる部分にも限界や制限がある
ここの世界にもあるように…
秩序を乱さないための制限が…
人の願いや叫びは欲望のままのものが多い
努力も無いまま
行動できないまま
助けを求める叫びや苦しみが『何か』に届いていることを知らず…
*****************
大空の中を気流に乗って漂う
360度の景色は美しい
これを自由と言うのかもしれない。
しかし人には限界がある。
空に舞い上がっていても、自らの意思で飛び立つことは出来ない
重力の中で大地に根を張って暮らす存在だから…
突然
美しい音色を感じ取っていた。
心の想いに響きしみこむような音
魂の奥底から何かが湧き上がるような音色
沢山の内なる何かが目覚めるようなそんな音色に魅了される
その音の場所へ…
風に乗り鷹と共に舞い降りてゆく
猛スピードで…
そこからは小鳥達と共に
音色の元へ…
ゆっくりと草原を駆け巡り
温かな日差しの中
蝶の舞うあいだをぬって
大地すれすれを這って
その場所へたどり着く
大自然の丘の上に小さな教会が立っていた。
白いその建物は色とりどりの窓を持っている。
開いている扉は一つ
戸惑うことなく
正面と言われる場所から風と共にすべりこんでいった。
そこは…
建物の中は驚くほど外とは別世界の空間だった。
色のついたガラス窓から日差しがさしこみ美しく輝き
その光は色のついたガラスを浮かび上がらせていた。
正面には十字の建造物がある
その端で少女が指をうごかし音を出していた。
彼女の想いが指から楽器に伝わりこの場所の空間から外へ流れている
少女の傍にたどり着いたとき
風で髪がかすかに揺れ動いた。
すると少女は…
『何か』に気がついて指の動きを止めた。
『何か』を感じているようでもあった。
戸惑いながらもその『何か』は
静かに傍に存在していた。
見守るように…
少女は「気のせいなのか」と演奏を始めた。
彼女は目が見えなかった。
その分
他の感覚が人とは違う鋭さを持っているようだった。
このような空間では
その『何か』の存在はより感じられやすかった。
ここは人の願う場所
想いを伝える場所だからこそ
その『何か』にとっても心地よく
存在として過ごしやすい場所でもあった。
その少女は他の人達とは違うからこそ
心の想いは純粋で美しかった。
その想いや気持ちが音色に現れていた。
メロディーではなくもっと根源的な振動として伝わるものだった。
その女性は
ユーモアのある女性
懐疑芯や不安をあまり持っていないようだった。
メロディを奏でながらその女性はお花畑をイメージしていた。
目が見えないのにとても楽しく生きている様子だった。
ついつい傍に寄りすぎて
観察しすぎたのか?
突然 彼女は曲を弾きやめてしまった。
そして「こんにちは!」と笑顔で振り向いた。
「あなたのお名前は?」と語りだした。
「何も見えないけどほんの少しだけ感じるんです!」そう言葉にしていた。
その傍にいる存在は
ほんの少しだけ驚いたものの…
言葉を持っていない。
音を発することは出来ない。
その『何か』は
何も出来ないまま
ただみつめていた。
彼女のそばで…
もちろん言葉(音)には出来ないけど
想いだけは存在している。
彼女は勝手に答えていた
「いいんです。答えなくても…」
「さっきから傍にいてくれているのを知っていますから」
「ひとりでいるより誰かと一緒にいるほうが楽しいですものね。」
彼女は笑顔でまた曲を弾き始めていた。
曲が終わるたびに
彼女は話しました。
「私、目が見えないんです。小さいときに高熱で…
それからだそうですけど…でもこんな自分を恥じてはいません
周りの人に良くしてもらっていますし…
ごめんなさいね。自分のことばかり話してしまって」
彼女はまた曲を弾き始めた。
彼女の心は周りの人への感謝に溢れ
自分の境遇に対する怒りや葛藤は感じられなかった。
曲を弾きながら彼女はいろいろなことを想っていた。
子供の時に見た景色
両親や家族 親戚や友人そんな楽しい笑顔を想いながら弾いている。
自分の今の環境をしっかり受け入れていた。
そして感謝している。
しばらくすると遠くから足音が近づいてきた。
少しだけ足を引きづりながら歩く音が…
するとそれに気がついて
演奏を止め
「もうそんな時間なの?」とその足音の主へ語りかけた。
おばあさんが迎えにきたようだった。
「そうだよ。何も変わったことはなかったかい?」
少女は笑顔で「ええ」と
イタズラっぽく微笑んでいた。
誰もいない方向にに向けて軽く手を振って
少女は立ち上がりおばあさんに支えられながらこの場所を後にして帰っていった。
一緒に小さな教会を後にして
風と共に舞い上がり建物の屋根の上から
さっきまで傍にいた存在は少女の後姿をみつめていた。
その『何か』は…
今日も彼女を教会の屋根の上から待っていた。
もちろん追いかけることも出来るけど
待っていた。
この場所で会いたいから…
そして直接語りかけられることの不思議な感覚に魅了されたからでもあった。
1週間後 おばあさんに手を引かれて少女がやってきた。
その日も晴れた昼下がりだった。
「じゃあ、私が用事を済ませてくるまでここでおとなしくしてるんですよ」
「はい!」
パイプオルガンの前で座らせるとおばあさんはゆっくりとドアの外へ出て行った。
少女は
「今日もいらしていたんですね。」と笑顔で語りかたりかけてきた。
「おばぁさんはこの教会のすぐ隣の人の家で用事があって
曲を弾いていれば私がいることを安心して一人になれるんです。」
と語りだした。
それと同時に演奏し始めて…
その『何か』は黙ったまま傍で見守っていた。
何を彼女は求めているのか?
何故このような境遇に生まれたのか?
彼女の傍でみつめていた。
彼女の想いから心の様子を…
静かに見つめつつ
週に1回だけここに来て時間が訪れては
おばあさんに手を引かれて帰っていった。
何度ここで彼女を待っていただろう?
そしてどれだけ彼女の声と曲を感じ聴いていただろう。
ふと
変化を感じ取っていた。
彼女の変化だ!
彼女は楽しみにしている
もちろんその『何か』も…
しかし
先が(未来)無い事をその何かは知っていた。
別れの時が近づいているのを
その『何か』は感じていた。
彼女は密かに
その『何か』に対して
会ってみたい
話はしないけど必ずいることを確信していた。
だからこそ会ってみたいとこの目でみつめてみたいと想い始めていた。
彼女は初めて強く想っていた
諦めかけていた見ることへの想い
「見てみたい!」と言う強い願いだった。
この目で…
確認したいその想いがその『何か』に伝わっていた。
それは同時に別れを意味していた。
人生での願いや希望は魔法のようなものでもある。
彼女の想いはまるで悪い魔法が解いたように
何かが変化していった。
。。。。
それはここで始まった。
いつものように演奏したら想いを話しかける彼女
真っ暗なはずの視界に
少しずつ揺らぎのような光が差してきた。
ほんの少しだけいつも感じる光だった。
声に出来ない誰かのそばにいるときだけ光を感じられるから
絶対誰かがいると語っていたのだった。
傍にいるとわかっていて話していた。
それが…
今日は一段とはっきり見える。
どんどん広がる光が…
何か光が…
びっくりして立ち上がると椅子につまずいて
転んでしまった。
その時出入り口から強い風が入り込んできて
髪を揺らした。
そしてゆっくりと立ち上がり…
恐る恐る
目をゆっくり開くと・・・・
薄暗い教会の中で
目の前には美しいステンドグラスの色がはっきり見えてきた。
驚いて見えることに感動して言葉にならなかった。
ただ涙が零れ落ちてきて…
その涙の揺れた視界の中で見てみたい相手を探していた。
さっきまで傍にいたはずの誰かを…
そうさっきまで見守ってくれていた人
探しても傍には誰もいなかった。
いきなり曲が止まったのを知り
おばあさんが心配で駆けつけてきた。
足音と共に・・・
息を切らしながら走りよって来た
「何かあったの?」
泣いている孫を抱きかかえて
心配そうに覗き込むと・・・
少女は「見えるの!」と
「見えるようになったの!」と声を震わせながら涙を流して立ちつくしていた。
「私の手も教会の椅子もおばあさんの顔も見えるわ!」
いつも傍にいた場所を探すと…
彼女がいつも座っていた目の前の
パイプオルガンの上には摘んだばかりのタンポポが1輪
いつも光が見えていたその場所に・・・・
彼女はそのタンポポをゆっくりと手にして
その見ることが出来なかった
存在を確信することが出来た。
確かに誰かが傍にいたことを…
その摘まれたばかりのタンポポが証だった。
その美しい音色は今も
教会から時折響きわたっている。
その音は
誰かを待っている想いと感謝が美しい音色になっていた
その存在は
彼女の想いの音を受け取りながら
ゆっくりと漂い別れを告げていた。
「もうすぐ 貴方にふさわしい人に出会えるよ」
言葉に出来ない想いを残して…
風が強くなり彼女の想いの届かない場所へ
天高く舞い上がっていった。
雲をつきぬけ何処までも…
『なぜ私はここにいるの?』
『どうして生きているの?』
『ふさわしくない場所に
存在しているような気がして…』
『誰か
私のことを知っている誰かがどこかにいるのなら
返事をして欲しい』
『私はなぜココにいるのか…
教えて欲しい
生きているわけを…』
底なしの闇が広がる大空では稲妻が走り
時折、風が荒々しく駆け巡る
稲妻の光が空の様子を映し出す
空は雨で何かを洗い流すこともせず
ただ稲妻と共に大地に轟音を響き渡らせている。
大空では大自然の偉大な力が生まれ
そして何かを示すように…
この力は誰にも止められることなどできない
大自然は何者よりも偉大だから…
そしてその偉大な想いは
大空の彼方のある場所から見つめている
その想いを…
その願いを…
遠い彼方の場所から…
*********************
稲妻のエネルギーは何処から生まれるのか
それは誰も知らない
その大きなエネルギーは大地にサインを送り込んでゆく
稲妻の光で道に迷った人を照らしていたり
外出の危険を知らせて部屋に留まらせていたり
轟音は振動となり存在している全てのものを震わせては
全てのものへサインを残している
『心』とも言われる場所へ
『魂』とも呼ばれるその場所へ…
何もない大空から
厚い雲の隙間をくぐりぬけ
どんどんスピードを上げて
稲妻と共に地上と言われるその場所めがけて
稲妻の速さにあわせ
稲妻のまばゆい光と共に空気を引き裂き大地へと"何か"が降りてきた。
目には見えない"何か"…
空はその一度きりの稲妻の着地の成功を見届けると
厚く広げた雲はみるみるうちに
解散させて消えていった。
一瞬の出来事のように…
その"何か"は風に乗り漂いながら
まるでダンスを踊るかのように流れている
その『願い』の
その『想い』の主の所まで風に乗って走り始めていた。
何もない砂漠を抜けて
小さな運河からどんどん広がり
大きな森まで水の流れに乗って…
水のある場所には沢山の想いがひしめき合っている。
ここの世界に降りてきて何日が過ぎた頃だろう?
小さな声にならない想いを"何か"がキャッチしていた。
少年の小さな声
その声に意識を向けて風に乗って想いを受け取っていた。
風の流れに乗って想いの方へ駆け寄る
どんどんその想いのほうへ…
想いは弱々しくもはかないが
願いは強く
"何か"は、その願いに惹かれるように接近していった。
「もう僕はだめなんだ!
誰も僕を探してくれない
怖いよ~
誰か僕を助けて~
暗くて…寒いよ~~
お母さん心配ばかりかけてごめんなさい
お母さん…」
その風は古井戸に落ちた少年の傍に舞い降りていた。
やさしく風が吹き込んできて少年の髪が揺れた
少年は意識がもうろうとしたまま目を覚ました。
自分の上のほうには遠くに丸い出口が見える
そこには夜空が…
暗がりの中からは月夜の空が明るくさえ感じられるほどだった。
体は動かない
深さ3メートルはある穴に落ちて全身を強くぶつけてしまっていた。
声も出せない
指先だけを動かすことが出来る状態だった。
目を覚ました少年の瞳から
は静かに訪れる痛みと恐怖と寂しさが涙となって流れ出していた。
「このまま僕は死んでしまうの?
嫌だ!」
呼吸だけが感情で荒くなる。
でも体は動かない
声も出せない
何度も目を覚ましては
痛みや恐怖で意識が薄れていった。
諦めかけて悲しみや恐怖が薄れゆく中、少年は不思議な夢をみた。
それが夢なのか?現実なのか?
体の痛みも恐怖も感じなくなって目を開けると
傍には小さな光が舞い降りてきた。
ホタルのように漂いながら…
その輝かしい光に魅了されて
今、自分が置かれている状況をすっかり忘れてしまっていた。
その光は傍に来ると大きくなって声が聞こえた。
声が聞こえたような気がしたのかもしれない
言葉を感じていた。
何か懐かしい気持ちで
そんな不思議な場面でも少年は恐怖を感じなかった。
『お母さんに会いたい?』
そう感じ受け取っていた。
「おかぁさん?」その瞬間お母さんの思い出が沢山飛び出してきた。
今までの記憶が押し寄せてきたようだった。
「もう一度会いたいよ~お母さん!」
そして少年は再び意識を失っていった。
その光は小さくなって
少年のか細い寝息で舞い上がり
その古井戸から抜け出し、そして風に乗り
その記憶の音のする母の元へ駆け巡っていた。
しばらくするとその"何か"は子を思う母親の想いを受け取っていた。
それは
母親が、帰りの遅い子供を心配している強い想いだった。
少年の、あの走馬灯のような記憶に出てきた母親だった。
風に乗って来た"何か"は、
心配して近所の人たちも集まってきている部屋の中に舞い降りる。
そして子供を思う心配な想いを母親の肩越しで感じとっていた。
少年が家を飛び出して5時間は過ぎていた。
母親はその喧嘩の瞬間を何度も思い出しては自分を責めていた。
そのたびに体が震えながら涙が零れ落ちた。
「この子に何かあったら生きてゆけない」崩れ泣きながら
子供と過ごした記憶が蘇っていた。
母親のそばにいた"何か"は少年の想いを振り返っていた。
『お母さんに会いたい』そう願う想いを…
その時だった。
何気に顔を上げると
目の前に飛び込んできた言葉に惹かれた。
母親の視界は涙でゆがんで見えているはずなのに
WEST(西)
涙で見えない視界の中
部屋の壁に昔から貼ってあったポスターの言葉だけがはっきり見えたのだ。
その瞬間
母親は家から西側にある林を想いだした。
母親と肩越しに存在している"何か"は共に
部屋を飛び出し西へ走り出した。
突然走り出した
母親を追いかけるかのように警察や近所の人たちが走りだす。
母親は涙を流しながら…
ただただ林の中を無我夢中で走り出していた。
まっすぐ西へ…
子供の名前を呼びながら…
日が落ちた林に母親の声が響き渡っていた。
15分ほど過ぎた時だった。
母親は何かに足を奪われて転んでしまった。
息が切れて…
泣きながら再び走り出して我に返ったときだった。
後から追いかけてきて
『奥さん!大丈夫ですか?』
と話しかけた警察に…
母親は身動き一つしないでゆっくりと指を指した。
落ち葉と雑草の隙間から
母親の目の前には古い小さな井戸がそこに…
その傍には少年の靴
追いかけてきた人が懐中電灯でその古井戸の中を照らすと
気を失って倒れている少年が発見された。
なぜ母親がそこにたどりつけたのか?
誰にもわからない
誰でも突然衝動的になる事がある
理由などない
母親さえ偶然と言うしかない
ただひとつ確実に言えることは
お互いの想いが繋がりあっていたこと。
そして、その繋がりが何かにたどり着かせたのかもしれない。
願うことや想いは誰かに届いているのかもしれない。
目に見えない"何か"に…
母親の嬉しい安堵のため息で
その"何か"は井戸の中の少年の傍までゆき
『もう大丈夫だよ』と声をかける
か細い独り言のような安堵の「ありがとう」という少年の言葉で
"何か"は井戸から飛び出し林から星が輝く空へと舞い上がり
また気流に乗って消えていった。
願いや想いを手繰り寄せながらその何かの旅は今始った。
風は何処でも吹いている
何処からともなく
風は流れている
その風は晴れの日も雨の日も
朝も昼も夜も流れている
その風に乗って
何かが流れつく
体をすりぬけて心に届く何かもある
葉を揺らし
髪をゆらし
波を立て走り去る
それは貴方を知っている誰かかもしれない
遠い過去の遠い記憶のその先で出会っている誰かかもしれない。。。
携帯電話を手に
いつもブログに日記を書いたり
顔も知らない人からの一言の感想に
返事を書いてみたり
そんなサイトでのコミニケーションをしつつ過ごしている
女子高生
忙しくエンジョイしていると思われている
彩 17歳
初めは毎日ブログに
自分を表現することの楽しさを感じていた。
でも…
いつしか
今までと同じ楽しいはずの毎日に
輝きを感じられなくなる瞬間があった。
クッションに投げつけて
大きくため息をついた。
そんな瞬間から広がる混沌の世界
ふっ~…
突然訪れる混沌
見えない心を知らない間に蝕んでゆく
何も悩みは無い
何も問題は無い
だからこそのふとした瞬間の混沌
─ 混沌の中 ─
「私。。。。何をしているのだろう?」
「何処へ行けばいいの?」
それは寂しいわけじゃない
孤独を感じているわけでも
不平不満があるわけでも無い
そんな気分
それが混沌の中
そんなことを思っていた時に
着信メールの音楽が流れてきた。
ふいに現実に引き戻されてびっくり
気がつけば慌てて携帯をクッションから探し出し
確認していた。
幼なじみの美月からだった。
小学校の卒業以来学校が変わって
連絡がなくなったけど
中学の修学旅行で偶然再会
メールアドレスを交換して
それ以来 たまにメールする仲に変わった。
学校の話が出来た。家族の話も・・・
離れているからこそ話せたのかもしれない。
♪「まぁ~まぁ~かな?」
あ~~~~
「電話していい??」
送信
ついついコミニケーションは遠ざかり
気がつけば1年過ぎていた。
─ ブログ炎上 ─
説明をし始めてほんの数分。美月の声はどどんどん震えはじめ…
最後には、とうとう泣き出してしまった。
泣きじゃくりながら30分ほど経緯を話し始めた美月
聞き役に徹していた。
徐々にコメントが入りはじめ
その中でコメント返しをしながら
楽しくやっていて
密かにに好きな人もできたという
しかし
ある日
楽しいはずのブログが一転。
優しくコメントをくれていた1人の人が
急に変わってゆき…
トラブルが起きて
ブログ全体が不信感に溢れた雰囲気になってしまった
ブログは難しい 危険と
言われている世界なのは知っているけど
そんな楽しみたいはずのブログで泣いているなんて!
困って泣いている。
もちろん、好きな人にも、まだ会ったことも無いらしい。。。
彩は驚いている自分が感じられた。
片方は泣きじゃくり
片方はつまらなさを感じていて…
見つめなきゃ~ね。
問題解決にならないしさ!」
─ 原因 ─
彩は美月のブログを見ながら
美月に対してのコメント
そして美月からのコメント返しを読み返していた。
自慢げに明るく話した。
今後どうしたらいいのか?知りたいからこそ真実と向き合おうとしていた。
美月「え?なにそれ!」
"活字をどう感じて受け取るか"の世界だからさ!
しかも、盗聴じゃないけど
第三者との対話も見れるじゃない!
その会話が嫉妬を生み出すとも言われているの!
ま~~~見えない嫉妬が誕生するトライアングルのはじまりだな~ぁ」
実際そんな場面見てきたからかもね~。身近で嫉妬で炎上した人いたよ。
暴言吐きまくり状態!でさ~~
もう大変どころじゃないわよ~ぉ
醜いし関わる人全て不信感に包まれちゃってさ!」
解決策は何かという答えを待っていた。
何かを教えてくれないか?何かいい方法は無いか?
美月「どうしたらいい?」
彩「そんなの簡単だよ!」
美月「え???それどういうことなの?」
彩「トライアングルをちゃんと見つめなさいよ!答えはそこにあるんだから~
その他の登場人物は無視。
それから… 表現方法に気をつけること
平等だよ!平等にコメント返し
公開されていること忘れるべからずかな?
あはははははは~~~~~~」
彩は続けて言葉にしていた。
彩「ま~~~公開なんだけど、盗み見している第三者の気持ちを考えてのコメントだね。
好きな人に気持ちを伝えたいなら
見られないコメント!メールがあるでしょ!それを使うこと
公開コメントでイチャついたら・・・・・ばかちんだな~
そりゃ~~~引いてしまうか炎上するよ!!反省しなよ!」
同年齢のプライドやライバル心など無い
従順に親の姿を求める子羊のように
答えを求めていた
素直に答えてる。
その気持ちを…私なんかと話す前に
失いたくないその人に…
気持ちを相手に直接伝えてご覧!
今なら間に合うかも…じゃ~ね~~プ~ップ~ツ…」
美月「え?・・・・・」
─ 素直さ ─
しばらく美月は電話の音を聞いていた。
直接メールしなきゃ~
初めての知らない人への個人的メールだった。
何を言葉にすれば????
彩の言葉が蘇った。
今更だけど辞書を調べる。
え~っと・・・・・
『正直な、穏やかな、柔和な』と書かれていた。
そう表現しなくちゃ~
失礼が無いように・・・・
『はじめまして・・・』から始めよう!
正直にだから・・・・
あ~~~~
真実を話せばいいのかな?
失いたくない気持ちを伝えてみた。
こう書いた。
『今回楽しいはずのブログのコメント
書き込みがうまくいかなくなったのは
私の返事であるコメントのせいです。言葉の使い方の
未熟さからでごめんなさい!これから気をつけます!』
『気にしなくていいよ!』
『誰だってそんな時期があるから~』
『うん!楽しもう!』
『仲良くしてね』
そんな励ましの言葉が沢山入っていた。
嬉しくてなんだか涙が出てきた。
それでも共感や励ましはすごく嬉しい。
そのメールの相手は
まだ会ったことも無い
話したことも無い相手
そう~
いつもコメントで励ましてくれたり
心配してくれたり
趣味について共感したり
活字の言葉が優しく伝わって
知らない間に心を奪われていた人
恐る恐るメールを開くと・・・
美月を心配してくれて
彼女を思う言葉がいっぱい書かれていた。
そこには
同時に彼も素直に気持ちを表現している文章があった。
数時間にわたり2人の間を何度もメールが行き来したことは言うまでもない…
─ 私の役目 ─
その頃
彩は?
『私は何やっているんだ?
まっいっか!
私の役目はわかったけど…
ま~今回だけにしてよね。そんな役目!』
その。。。。???
言葉と同時に浮かんできた!
「私。。。。何をしているのだろう?」
「何処へ行けばいいの?」
だからなの?
何がなんだかわからないけど
そこへお母さんから
夕食の準備が出来たから降りてきなさい!と…
少しお母さんの質問をかわして
お父さんの様子を伺いつつ
自分の部屋に戻ると…
『大丈夫かな?』
メールが…
素直に気持ちをそのまま、ありのまま伝えてみたの!
そしたらね。奇跡が起きたのよ!詳しくはまた話すけど
彩に相談してよかった!ありがとう!』
うまく行ったならよかった。
ちょっぴりホッとしている彩だった。
またしてもあの時の想いが蘇った。
混沌に包まれていた自分。
しかし、それはもう過去のものだと感じられた。
そこにきてくれるコメントが楽しみに感じられる。
自分を見失いそうな時
大切なのは友達
多くを知らない友達なのかもしれないと
彩は
自分の携帯ブログのタイトル
「友人」を題材に気持ち書き始めた。
◆ ◆
"何をしているのか?"知っていることを伝えて
人との関わりの中で生きている実感を味わう
第三者が見て感じる私の姿にも、その答えがある。
勝手に前へ進んでいるのかもしれない。
人が集まる時
奪う気持を感じて引き寄せられる。
その先にある真実
どうするのか?を決める場面で問題が起きている。
海辺でも。
その存在の力は動いていた。
周りに集まって何か出来ないかと模索していた。
悲しみに包まれ
放心状態の女性が海へと足を進め始めていた。
美しいはずの海水は見る見るうちに輝きを失ってゆく
何とかしなくては・・・
彼女の人生は
ここで終わるわけには行かない
未来に関わる大切な人たちや待っている魂もあるのだから・・・
自由意志だからとはいえ
ほおっておくわけには行かない。
全て、あの対極に存在する"闇の力"で動かされた人が
他の人を傷つけた結果なのだから
その傷つけた人にもダメージを与えるわけには行かない
現実世界(人間界)での秩序には法則がある
人を傷つければ3倍になって還ってくる因果応報やカルマがある。
それを作るわけにはいかない
これ以上地球を闇の力に包み込ませるわけには・・・
そしてチャンスを待つしかない。
何か自然のチャンスを・・・
勇気ある人間は周りにはいない
見守っているのは、未来で必要なビジョンや魂ばかり
そして美しい大自然。
海 そして風しか無い場所。
月が昇り太陽が沈む
どんどん月明かりが強くなるそんな瞬間。
「痛っ!」
全身を包む悲しみや孤独感が一瞬だけ変化した。
何かに意識が向けられた。
これが何かに気がつくチャンス。
ほんの少しだけ月明かりを利用して
その存在は、すぐ傍の未来の魂を偶然として
未来と現在の時間をつなぎ合わせてみた。
そう・・・
ある未来のこの時間は引き潮
そして未来存在している少年の魂をここに
何かの存在は、こんなことでしか表現できない歯痒さもあるけど
それが人間には大切な学びや成長 自由選択で進む素晴らしい存在だと
わかっているからこそ、その偶然と言うチャンスを使った。
時間は使える 不思議で片付く偶然として・・・
何故偶然を使うのか?
自然でいなければならないのか?
それは
ここでのルール。
歴史ある、正しさの深い意味を知るものだけのルール。
突然
無邪気に「ここで何してるの?」と声をかけられ
女性の心は驚きのあまり
足の痛みから今の現実へと戻ってきた。
見知らぬ子供に見つめられ問いかけながら
自ら死を選択する人は少ない。
生きている感覚の象徴である痛みから
女性は恐怖を感じ始めて
突然の声で驚きと疑問にかわった。
その瞬間
大自然の強さや偉大さが視野にあふれ出し
月明かりと花火の美しさに感化されて
心は、平和や喜びを取り戻しはじめていた。
瞬間的に視線が花火に動いた瞬間
その存在は、時空を超えた繋がりを元に戻した。
それが何かの存在と力の姿
女性はその声のほうへ駆け上がり
誰もいない場所に腰を下ろして花火の夜空をいつまでも見上げていた
心にはもう現実と向き合い生きる勇気が戻ってきていた。
の存在には、色々な役割がある。
もちろん、してはいけないこと、していい事もある。
ただひとつ変わらないのは
常に人間の成長と学びがテーマであること
今回のようなことは特別な時だけ・・・
それを特別と理解できるのは、その存在のごく一部のものだけ
そして再び
その存在は何かできる瞬間は無いかと
心の声を求めて動き回っている。
私達の周りにはもちろん常に沢山の存在がいる
人の心にあるエネルギーは強く
求めれば与え続ける関係で
お互い共存している。
人の発想や発明、知恵や直感なども、求め与えられたもののひとつ。
受け取れる瞬間を待ち
心への潤いのように、いつまでも与え続けられるのが私達の世界
それが、私達が認知しべき新たな世界観なのかもしれなせん。
それをサポートする存在
新たな世界(見えない)で生きる存在達がここに・・・・
始まりから常にあったと言われる世界
それこそがここなのです。
多くの人にTMOの声が届くようにブログランキングに参加しています。
ランキングが上がることで、このブログが一人でも多くの人の目について、
言葉を遠くに運んでくれますように…クリックでご協力をお願いします。
| SHORT STORIES『 if... もしも 』scene#11は近日中に公開予定です。お楽しみに。 |
本当は言葉など無いのかもしれない
普通の人間の目には見えないけど
不思議な偶然が連鎖的に起こる瞬間
私達は腑に落ちない気分になりますが
それは必然であり
何かの力を心のどこかで感じ受け取っているのです
そんな出来事を認識し受け入れられる小さなきっかけとして
今回は趣向を変えて、その瞬間へ、あなたをご招待しようと思います。
"見守る存在"の視線を感じてみてください。
■ ■ ■
scene#10 未来に答えが… で描かれたシーン…
今まさに、悲しみに包まれビルの屋上にたたずむ少年
それと同時に
遠い海辺の海水の中に足を入れ始めている心を見失った女性
地球のあちらこちらで葛藤や苦しみの声が絶えずおき
その響きは地球を包み込んでいるようでさえあります。
しかし、それぞれの人生の1シーンの片隅では
何かを人間に気付かせようと
飛び回りうごめく存在が…
大きな活動している存在が常にそこに…
その存在…
それは正体を見せることは出来ない
ただ急を要する状況の時だけ大きく動くことができる。
偶然と言う名の下に・・・
それだけではない
人間の願いや想い、葛藤
そんな声に必ず耳を傾けてそばにいる
それでも
存在を人間に気付かれてはいけない
そこには
その世界のルールがあるから。
人は、その姿を見せると求め頼ってしまうから
自由意志の決断や判断を失ってしまうから
弱さを克服する為に
自信を得て創造へと向かう姿を見守らなくてはいけない。
人間の尊厳、偉大さを大切にしなくてはいけないから
それさえも自由だからと
何かに判断を委ねてしまう人間もいる
悲しいかなそれも自由
何かに委ねたり駆け引きなど
そうすると本当の心の中の自由と尊厳は失われ
いつまで経っても想像から創造へとは向かうことは出来ない。
すぐに閉塞感と絶望の世界に入ってしまう人間
それを避ける為
その存在は
人間の叫びを聞き飛び回っている
いつも・・・
わからないように・・・
それでも、その動きや存在に気がつく人間がいる
そう
気付くことが得意な人間が・・
偶然は必然で、すべてに何かの力が影響していることを
そして必要だから起きて不必要な事は起きないと知っている人間が
その何かを探求して見つけ出そうとする人々もいる
それでも、この世界の魅力的な部分に惹かれ
それ以上進めないようになっている
しかし
たまに、そこに魅了され続けることなく
執着もせず、人としての尊厳を手にして
目に見えない世界を旅する人が登場する
それは素晴らしい反面
一つ間違えてしまうと悲劇が起こる。
思い詰めた人間が、今まさにビルから飛び降りようとしている時
本人に気付かせようとしてももう遅い
全身"無力さ"や"悲惨"なエネルギーで包まれ手に負えない。
そうなる前に、どれだけ手差し伸べても受け入れられる状態ではなかった。
そんな時
その存在が使う手段
それが『勇気のある人間』
『正義感ある人間』
心、魂が美しいことが条件
(だから、小さな子供や生き物も該当する)
身近にいる、そんな人間を探すことから始まる。
しかし現代ではなかなか見つからない
正義感が強く勇気がある人がいないのだ・・・
何よりも、行動できなくては始まらない
そして言葉を使えなくては伝えられない。
スピリチュアルブームの渦中の人や
精神世界の仕事を生業にしている人を使うことも出来る
しかし、これもメッセージによる誘導にのようなもの
こんな急を要する事態には使えるはずはない
そしてやっとの思いで
その人間を見つける
人を動かすのは緊急時だけ…
特別なを装う
斜め前のマンションに住む女性しかいなかった。
今回は間に合いそうだ!
実は…そこには大掛かりな作業がある
それぞれの力には限界があるから
得意不得意があるように・・・
動かす人間を見つけた後は
窓の外に意識を向けるように何かを起こさなくてはならない。
大自然で偶然と言う形
空と言えば風
風を強く起こせばドアを締め切られてしまう。
そこでそばにいた鳩を使うことにした。
動物のほとんどは本能で、その存在を知っていた。
たまに猫に追いかけられることがある。
鳩の影を使って何度か女性の窓へとサインを送ってみた。
2度目でやっと気がついた様子だった。
女性は窓越しに少年を見つめていた。
心の中で気になり始めているのが伝わる
後は彼女の判断に託してみる
しかし気になっても行動を起こしてはくれない。
痺れを切らした存在は、自然をつかさどる力に頼み風を使ってみた。
風は外から窓を伝い風鈴を揺らす…
そして音を出す。
女性はその音とともに少年に眼をやる
やっと気がついてくれた。
その後は彼女に任せるしかない!
見守りつつ任せる。
彼女には勇気があった
直観力も正義感も正しさもあった。
人は攻めないが自分自身を攻める癖があった。
正義感が強く行動力が強いから・・・
認められない自分に腹を立てていることが問題
でも、心の中には葛藤が常にたまっていた。
"自分自身へのどうしょうもない気持ちが…"
そして
動き出す彼女。
その存在は、そっと見守っていた。
その瞬間が来るまで・・・
女性は非常階段を駆け上がり
ドアを開けた途端に今までの心の葛藤があふれ出してきた。
何しにココへ来たのか?すら忘れるほど・・・
そして
その、ある存在の大きな力さえも及ばなかった無力感に沈む少年の塊
そんな少年の気持ちが見る見るうちに
驚きと疑問へと変化して行った。
その知らない女性の話を聞く姿勢
それは受容という姿に変わる
またたくまに変化するのがその存在にはわかっていた。
もうしばらく
彼女の自身の為にも心の内を噴出してもらおうと
胸の辺りと喉の辺りに意図した力が加わる…
自動販売機で必然的に買われた缶コーヒー2つ
それは二人の為になるから・・・
扉を開けるだけの
ほんの少しの開放の瞬間だった。
【後編に続く】
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| SHORT STORIES『 if... もしも 』scene#10【後編】は近日中に公開予定です。お楽しみに。 |
NEW!! もしも未来の自分が現在に存在しているとしたら・・・
もしも過去の想いが現在も存在していたら・・・
どこからともなく訪れるサインは
自分自身へのメッセージだったとしたら・・・
あなたはそのメッセージを受け取ることができるだろうか?
TMOがお届けするこのショートストーリーズ『if ~もしも~』は誰の目の前にも必ず現れる「よりよく生きるためのメッセージ」が様々な年齢、性別、職種の人たちの前に唐突に現れる不思議な瞬間を描いています。
心穏やかに澄み切った気持ちで…
同じ時間が流れている、ビルが建ち並ぶ街中では・・・・恵が
「面倒臭い事に巻き込まれなければいいけど」と心でつぶやきながら
自宅のエレベーターを降りて
斜め前のビルに駆け込んで
エレベーターのボタンを押して到着を待つ…
瞬時に心に浮かぶ「非常階段であがらないと」という言葉
エレベーターを待ちきれずに最上階まで駆け上がる恵
こんな体力があったのかと思うほどの軽やかさで階段を駆け上がる。
大きなギーッとした音・・・・
その音に反応して
屋上に立ち尽くす制服を着た少年が驚いた顔で振り向いた。
その少年に向かって、恵は、体力の消耗と緊迫感から乱れてしまった呼吸の中で叫んだ。
笑えと言われても笑える状態ではない。
今まさに人生を終わらせようとしているのだから・・・
「昔からそうなのよ! 気になるとつい行動してしまって・・・
それが原因で
笑われたり変わり者と笑われたり…」
ついつい大声で叫んでいた。
突然目の前に現れた女性が、意味不明の言葉を叫んでいるのだから・・・
不意をつかれた瞬間。
今まで、自分が埋もれていた雰囲気や葛藤
そしてあきらめた気持ちは今どこかへ消えていた。
突然乱入してきて「こんな私が大嫌い!!」と大声で叫ぶ女性。
誰にも言えず
誰にも伝えず
心の葛藤や悩み苦しみは、いつも心のどこかに押し殺していたのだから・・・
なのにココにいる女性は
知らない僕の前で訳のわからないことで叫んでいる
自分自身を怒りながら・・・
自分が原因だとも知らずに・・・
「大丈夫ですか?」と声をかけていた。
その言葉に、さらに怒りに火がついたようにまくし立て始めたのは女性だった。
「大丈夫ですか?じゃないわよ! 私はね~~~~」
なぜだかその日の朝の目覚めからの始まりを語りだした。
知らない少年に・・・・
少年は
「僕の責任ですか?」と驚いたように傍によってきた。
「その格好はどっかの高校生ね。」
イライラしながら女性は足の先から頭までなめるようにその少年を睨んだ。
少年の腕をつかむと何を考えたのか
エレベーターを使わず非常階段で下へと降りていった。
恵はポケットから取り出した小銭で自動販売機で勝手に缶コーヒーを2つ購入して
「出世払いだからね~ちゃんと返しなさいよ!」と少年に無造作に手渡すと
少年は初めて人の優しさを感じ取っていた。
この知らない女性から
何故だかほっとする女性
缶コーヒーを開けると…
話はそのまま今日の一日から
自分と出会う瞬間までの心の様子まで続いた。
「私は変?」と聞かれたり
それでも機関銃のように話は続いた。
満員電車の中での不快感もこらえて・・・
そして家に着くと僕が目に飛び込んできて・・・
そして
やっと自分の話になった。
自分の為に家を飛び出して階段を駆け上がってきたなんて!
そしてこうして知らない僕に缶コーヒーを渡して語ってくれている。
自分はひとりだと思ったのに・・・
「僕は孤独じゃない」ということに気がついた。
そう感じる寸前から涙が流れはじめていた。
自分自身の変な性格への怒りが
少年の涙をまのあたりにして収まってしまった。
「何泣いてるの???」
「怖がらせてしまった???」
「そうだったら…ごめんなさいね~」
少年は女性の言葉をさえぎり
「ち・違うんです。僕は嬉しくて」
再び驚いたのは女性だった。
「は?」
ここに生まれたカップルの会話は
この後道端で座り込み終わることなく何時間も続いたことは言うまでもない。
耳を澄ますと、二人にはどこかで花火があがる音だけが聞こえた…
数年後のこと…
この2人が3つの年齢差をこえて
お互いを愛し始めたのは言うまでも無い
お互い初めて本音を語り合えた大切な相手だったのだから・・・
遠くの花火の下、街から遠く離れた海辺で
人生をやりなおす決心をした正子もまた
数年後には素敵なパートナーと出会い
さらに数年後には愛の結晶を授かり
その子供に“ゆうや”と名付けたことも忘れてはいけない。
出会いを捉えがちです
その視線には過去も未来も一切見えていません
NEW!! もしも未来の自分が現在に存在しているとしたら・・・
もしも過去の想いが現在も存在していたら・・・
どこからともなく訪れるサインは
自分自身へのメッセージだったとしたら・・・
あなたはそのメッセージを受け取ることができるだろうか?
TMOがお届けするこのショートストーリーズ『if ~もしも~』は誰の目の前にも必ず現れる「よりよく生きるためのメッセージ」が様々な年齢、性別、職種の人たちの前に唐突に現れる不思議な瞬間を描いています。
心穏やかに澄み切った気持ちで…
高層ビルの片隅で地上を眺めては
ため息と共に
恐怖で逃げそうになる心を落ち着かせながら
過去の記憶に永遠の別れを告げようとしていた。
女性が涙を流している
心は苦しみに疲れて
体は重く一歩一歩前に進むのがやっと
無意識に近い状態
ここでも自分の人生に別れを告げようとしている。
あちらこちらで消え行く大切な魂を感じる・・・
それだけではない
耳を澄ませば・・・
助けを求める声や
嘆きの想いが生々しく伝わって来る。
世界中で先進国と言われる国ほど
大切な命を自らの手で断つ選択が蔓延っている。
世界のどこかの国では
病気や飢えに苦しみながらも
「もっと生きたい!」と願っている人がいると言うのに・・・
彼らは自分の心や想いを誰にも理解されないと思い込み
孤独に包まれ
希望を失い
嘆き悲しみを超え
"暗黒の無"の入り口の前に立ってしまう。
目には見えない力がどこかで働いているとしたら
貴方はどう思うだろう・・・・
少女の名前は恵…
6時過ぎだと言うのに外は明るいからついつい寄り道してしまう
でも今日は違っていた。
バイト帰りの恵は今日に限ってまっすぐ家に戻っていた。
疲れているわけでもなく
なんとなく
そして、視線をさまよわせるように窓の外を見つめていた
「ふっと」部屋の窓から隣のビルの屋上に目がいってしまった。
あら?
はっきりは見えないけど、珍しくビルの屋上に人影が見える。
そこよりももう少し高いビルの屋上の角に立っている少年が見える。
なんだか気になるけど
気になっても仕方が無い
意識を他へ向ける
それでも気になる。
ついついそのシルエットを見つめてしまう。
すると窓のそばの風鈴が優しく鳴り出した。
恵はその音のする風鈴へ目をやる
その隣にはビルの片隅に立つ少年の影
部屋で腰を下ろして風鈴を見上げるその角度の向こうに
その少年の姿が・・・
気になってしまえば仕方が無い問題
「なぜいつまでもそこにいるんだろう?」
気がつけば恵は気になってしまっていた。
偶然目にしてしまったことで・・・
そして丁度同じ頃、浜辺では・・・・
その偶然がここでも誰かに起ころうとしていた。
次から次に涙が頬を濡らしつたってゆく
絶望の中で重い足を引きずりながら波が来るほうへ向うと
海水は正子のひざまでぬらしていた。
夏の太陽は静かに沈みはじめ空はオレンジ色で染まっていた。
ここは海水浴禁止区域なので人はいない。
両サイドに大きな岩場があり誰の視線も届かないし
車を止められる場所すらない
正子は、海水浴場から歩いてやっと人気の無い場所を見つけ
ここを人生の終わりの場所に決めたのだった。
このまま
静かに
海の泡になって… 私は
夕暮れもどんどん深まり
さっきまで青く透き通っていた海は暗くなっていった。
足に激痛が走った。
放心状態だった心はその瞬間目が覚めたようだった。
我に返るとはこんなことなのか?
気がつけば暗闇の中ではなく目の前には月が・・・
満月とはいえないけど少しかけた月がこちらを見つめていた。
目の前に月があり
水面にももうひとつ月があった。
それにしても、水面に月を映しだすこの海は
さっきからゆっくり沖に向かって進んでいるのになぜ深くならないのか?
痛みで我に返った時に、そんなことに気がついた。
何?
後ろを振り返ると・・・海岸から相当距離は離れている
え?
なんなの?
そう!引き潮で海水は離れていっていたのだった
足の痛みはジンジンとして
大自然はこんなちっぽけの私の死を邪魔する。
なんだか自分の終わりを邪魔をする相手が自然だと認めたら
笑えて
馬鹿らしくなってしまった。
波の音と共に・・・
声を出して笑っている恵
左の岩陰から声が・・・
「何してるの?」
声が聞こえる事すら現実的過ぎて
驚いて声を出してしまった。
「いつからそこにいたの?」
「ずっと…」
その声は少年のようだった。
声に無邪気さが感じられる。
我に返ると、非常識な姿を見られた恥ずかしさが蘇る。
「そうだよ!何してるのかな?って・・・」
その声の主は月明かりでも輪郭だけでみえなかった。
きっと相手にもこちらが見えないのかもしれない。
恵は、そう思ってほっとしていた。
そんなぎこちない会話のうちにも
引き潮はさらにどんどんと逃げるように遠くへゆく・・・
足元は岩場で海水浴は出来ないけどここは浅瀬だった。
なんだか今の自分を馬鹿らしく感じさせた。
足の痛みで意識が覚醒して
知らない誰かに「何してるのか?」問われ
上からと下から・・・
まるで「貴方を知っているよ!」と語っているかのような
二つの月にみつめられ・・・
「もうじきだよ!」
その時だった。
花火の光にも覆われていた。
空を見上げると美しい花火は今までの苦しみが涙となって頬を伝い
涙は海水に落ちて花火は過去の出来事を美しさで消し去っていった。
美しいと感じたとき
何故だか心の絶望感は消え
身体は知らず知らずのうちに海岸に向かい始めていた
そこには誰もいなかった。
「隠れているんでしょ!」
と声をかけても波の音しか返事はなかった。
まだ続いている花火の光が
足もとの岩場に落ちている
小さなブルーのゴーグルを浮かび上がらせた
そのゴーグルを手にすると
裏にローマ字で"YUYA"と書かれていた
何かわからないけど
孤独感で一杯だった気持ちは消えうせていた。
大自然が味方になってくれたのか?
その少年の声のおかげなのか?
わからない。
人生をやり直そうという気持ちも新たに
未来ビジョンははじまっていった。
まずは濡れたままのこの洋服をどうするか? から・・・
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| SHORT STORIES『 if... もしも 』scene#9「生きる意味を想像する…(後編)」 は8月中旬に公開予定です。お楽しみに。 |

もしも未来の自分が現在に存在しているとしたら・・・
もしも過去の想いが現在も存在していたら・・・
どこからともなく訪れるサインは
自分自身へのメッセージだったとしたら・・・
あなたはそのメッセージを受け取ることができるだろうか?
TMOがお届けするこのショートストーリーズ『if ~もしも~』は誰の目の前にも必ず現れる「よりよく生きるためのメッセージ」が様々な年齢、性別、職種の人たちの前に唐突に現れる不思議な瞬間を描いています。
心穏やかに澄み切った気持ちで…
自分と出会った後のその少女の人生が見えた。
まるで映画のように・・・
光のシャワーが降り注ぐ中
意識を集中するとそこには私と別れた後の彼女の姿があった。
不思議に感じたのは
少女の心の中が感じられること
少女を通して感じられる事だった。
どうやら自殺未遂をしたらしいことも
その瞬間に感じられた
それだけではない
その理由も簡単だけど知ってしまう
心の苦しさも葛藤も瞬間的に感じてしまった。
その女性の素性はわからない。
廊下の端に見える私の後姿は、体が重そうで痛々しさも感じられる。
今、自分が意識を向ければ少女のもとに戻れそうな感覚もするが
今知りたいのは少女の気持ちだったのでそのままそのシーンを見つめていた。
彼女はその女性に私のことを聞いている
その女性が、自分を末期癌だと話しているのを静かに他人事のように見つめてい
た
「私の知らないところでそんな会話があったのね。」
のその少女の様子が変化しているのを感じた。
自分が言葉にした台詞を何度も繰り返している少女
そしてその瞬間
その花に囲まれて生き生きとした笑顔を浮かべる彼女の姿が飛び込んできた。
その後元気になったのね… と安堵感。
次の瞬間
花屋でキラキラした目をしながら、
ハンドクリームを手渡そうとする男性と仲良く話している・・・
次の瞬間
その少女は大人になり家族を持っていた。
子供を二人授かって・・・
そして理由
その時に流れている時間や出来事だけが意味や理由じゃないことを・・・
未来にとっても一人ひとり何か見えない大きな役割があることを感じ知った。
それは些細なきっかけや出来事なのかもしれない
でも大切なことは
ほんの小さな人とのつながりで
「何を感じたのか?」
「どう思ったのか?」
「それをどう生かすのか?」
それが大切なことなのかもしれないと言うことを・・・
その未来のビジョンから
人の存在の大切さを感じ知ることができた。
何故、少女のことを思い出したのだろう???
なぜ私の記憶が知らない人の未来ビジョンへ繋がっているのか?
不思議でならなかった。
心の奥底では当然のような感覚で捕らえながらも
どうしてももっと深く理解したかった。
瞬時の出来事だった。
些細な言い争いで、関係は途絶え離れたままになっていた。
その息子の歴史など知らないはずなのに
瞬時に彼のその後の生活がかいま見ることが出来た。
長男は早くに結婚をして子供をもうけていた。
自分にとっては孫である。
それが男の子
生きているときは存在さえも知らなかった孫の姿
知らない情報が静かに流れてきた。
その男の子が成長してゆく姿も早送りのように見つめられた。
そして、そこに描かれていたのは
喜ばしいつながりの衝撃
地下鉄のホーム…
その男の子が恋に落ちたのが・・・
なんと、あの病院で出会った少女だった。
花屋での販売という仕事を得て、男性と出会う。
自分の孫と…
様々な意味が考えられるけど
何か目には見えないけど、はっきりとした"つながり"や"広がり"を感じることが
できた。
それは今だけのためのものではなく
未来に対しても
そして、
一人たりとも無意味な存在など無くて
その意味ある存在すべてで未来は創られている事が実感できた。
光のシャワーはますます広がりはじめる
今度生まれ変わるならどうしたいのか?
どんな事を感じて体験したいのか?
そんな気持ちが、自分の中で自発的に整理されて行く。
その思考がある地点に到達した瞬間
最も強い光が放たれ
老婆個人の志向は"全ての思考"という光の彼方へ溶け込んで行った。
ひとつの魂が次なる高みへと歩を進めた至高の瞬間。
戻るべき場所へ・・・
出会いを捉えがちです
その視線には過去も未来も一切見えていません
もしも未来の自分が現在に存在しているとしたら・・・
もしも過去の想いが現在も存在していたら・・・
どこからともなく訪れるサインは
自分自身へのメッセージだったとしたら・・・
あなたはそのメッセージを受け取ることができるだろうか?
TMOがお届けするこのショートストーリーズ『if ~もしも~』は誰の目の前にも必ず現れる「よりよく生きるためのメッセージ」が様々な年齢、性別、職種の人たちの前に唐突に現れる不思議な瞬間を描いています。
心穏やかに澄み切った気持ちで…
安らかに永遠の眠りについたばかりの老婆…
自分の中から「生きる」上で縛られてきた
いくつものしがらみや執着が抜け落ちるのを実感していた。
お別れをしている瞬間のこと
走馬灯のように流れてゆく過去の記憶を振り返っていた。
生きることは人生を演じきること
人間でいることは体験して何かを感じ学ぶこと
記憶は
幼少期から少女へ
少女から大人へ
大人から老婆までの人生の記憶が
流れ出て蘇る
当然のように、受け入れている自分自身
まっとうした充実感のなかで向き合っているのかも…
自分の演じてきた人生を中心に
そこには偽りも見せかけも無い
悲しさや執着心などまったくそこには存在しない
安らぎと帰るべき場所への帰路の始まりと
不思議な空間と感覚の世界
でも老婆個人の意識は確かに存在している
体はなくても
そのままの存在が
生きてきた価値感や気持ちや思いに満たされて
執着心は必要を感じないが
何かしっくりしない事が・・・
気がかりなことがあった。
待合室で出会ったあの少女を思い出していた。
ただすれ違っただけの少女
手首には包帯が巻かれて寂しげであり
少し人を信じない空しさを感じる少女
生きていた時には何も気にはしなかったのに
今になって思い出す。
それはなんだろう?
何故なのか?
大切なシーンだけが蘇る
必要な場面や重要な場面が…
そこに
1週間前に出会ったあの少女の姿が
私は何をしたというのだろう?
確か・・・
私はこう答えていたはず・・・少女に・・・
「あなたにはこれから素晴らしい人生が待っていますよ」
なんとなく体が軽い日には人のいる場所へ出かけて
思い思いに話していたような・・・
何をどんな思いで話したか?はっきりしないものの
でも・・・気になってしまう。
なぜ?私はこんな事を話したのか?
記憶が鮮明に蘇ってゆく・・・・
生きる理由があると言われて
人の集まる場所に出かけて、その少女に出会ったのだった。
そう・・・
私は、その答えをまだ知らない。
なんだろう?
・・・
心の中から
何処かの中心からの声だということだけははっきりわかるのだけど
何かはわからない。
ただ・・・
その答えを知りたいと思った瞬間。
自分と出会った後のその少女の人生が見えた。
まるで映画のように・・・
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| SHORT STORIES『 if... もしも 』scene#8「未来に答えが…(後編)」 は8月上旬に公開予定です。お楽しみに。 |

もしも未来の自分が現在に存在しているとしたら・・・
もしも過去の想いが現在も存在していたら・・・
どこからともなく訪れるサインは
自分自身へのメッセージだったとしたら・・・
あなたはそのメッセージを受け取ることができるだろうか?
TMOがお届けするこのショートストーリーズ『if ~もしも~』は誰の目の前にも必ず現れる「よりよく生きるためのメッセージ」が様々な年齢、性別、職種の人たちの前に唐突に現れる不思議な瞬間を描いています。
心穏やかに澄み切った気持ちで…
自宅への帰り道
暗がりの歩道をいつものように歩きながら
今日の出来事を振り返る
こんな一人の時間に答えが見つからない"同じ考え事"を繰り返す青年
高校中退してバイトをしながら毎日を過ごしている亮・18歳。
「何故産まれてきたのか?」
「なぜ僕はここにいるのか?」
「何のために?」
「何がしたいのか?」
やるべきことをしながら、漠然と生活する毎日の中で
何かに疲れた時に、ふと考えてしまうテーマだった。
かと言って、悩み苦しんでいるわけでもない
でも…漠然とした瞬間に必ず訪れる疑問
何か目的が見つかって、目の前にあれば
そんなことを考えたりないのだろうけど…
食事を済ませて眠りにつく
そして朝を向かえ
同じことの繰り返しの時間を過ごす。
幸せと言うものなのかもしれない
これが
普通の生活なのかもしれない
でも・・・
何かが足りないと感じるのは僕だけなのだろうか?
そう考えながら毎日の時間が過ぎ去ってゆく
いつもの道
いつもの時間
いつものバイト
いつもの流れの中へ・・・
ある日の事だった。
その普通の毎日に変化が起こった。
漠然とした時間の流れが一変した瞬間だった。
地下鉄のホームで待っていると・・・
向かい側のホームで同じように電車を待っている女性に目を奪われた。
反対方向の電車を待っている女性
その女性は白いスカートに薄いブルーのシャツを着ていて
とても爽やかに輝いて見えた。
素敵に感じて、思わず見入ってしまっていた。
肩より長い髪も同じように風になびいて・・・・
その瞬間
目が合ってしまった。
亮は胸が高鳴ってついつい目をそらしてしまった。
次の瞬間視線を彼女へ戻すと・・・
ホームにやって来た電車に乗り込む彼女の姿が目に入った。
そして、電車は動き出し
彼女を何処かへ運んでいってしまった。
いつもの漠然とした生活の中にふいに現れた彼女の姿が忘れられなかった。
これを一目惚れと言うのだろうか?
それともただの変化なのか?
次の日から昨日の時間帯と同じ電車に乗り込んで
反対側のホームに現れる、誰かさえ知らない彼女の姿を待っていた。
この想いが目的だと言うのだろうか?
でもいつもと違う気持ちが亮の心の中には芽生えていた。
しかし何日過ぎてもその彼女に出会う事は無かった。
時には何本か電車を見過ごして、
誰もいなくなったホームで待っている事もあった。
亮の気持ちをそこまでしてしまう魅力的な女性は
そんな事すら知らず何処かでいつものように生活している
でも必ず同じ空気を吸いながら存在している
ただそれだけでも亮は希望を感じていた。
気がつけば、前のようにいつもの電車の時間帯に
いつもの流れといつもの生活に漠然と過ごすままになっていた。
心のどこかで求めていた爽やかな女性は
次第に亮の心から薄れつつあった
また見かけても・・・
僕にはどうすることも・・・
そんなふうに諦めかけていたのか?
言い訳を探していたのかもしれない。
亮は乗り込んで入り口付近で立っていると
「ドアが閉まります」と言うアナウンスの後に一人の女性が小走りで乗り込んできた。
女性は亮の隣に立っていた。
ドアが閉まり窓に映ったその女性の姿は・・・
自分が再会を望んでいた、あの女性だった。。
こんな偶然はあるのだろうか?
反対方向に行く人だと思い込んでいたら
同じ方向の電車に乗り込んでくるなんて!!
亮の胸は高鳴り身体は固まっていた。
その女性はそんな密かな想いすら何も知らず
通勤ラッシュの人ごみにもまれて列車の中で隣にいる。
次の駅で反対側のドアが開き人がまた入ってきた。
その憧れの女性との距離は恐ろしいほど密着していて・・・
(その日に限って混んでいる)
漂ってくる彼女のシャンプーの香り
ハンカチを握り締めてこの人ごみの不快に絶えているようだった。
亮の心の中で、まだ知らない彼女を「守りたい!」と思うような
男性の包容力のようなものが芽生えるのを感じていた。
名前も知らない人を…
次の瞬間
電車が「ガタン!」大きく揺れて傾いた瞬間だった。
彼女はよろけて、手にしていた定期とハンカチを落としてしまった。
亮の身体は自然に動き、一瞬のうちにそれを拾い上げて、
ほこりを払って彼女に手渡した。
笑顔を浮かべながら「すみません」と小さな声でお礼を…
恥ずかしそうに受け取ると軽く会釈をしてくれた。
頭の記憶チップに焼きつくように
ドアのガラスに映る風景の中にいる
透き通ったその彼女の姿を見つめていた。
定期券には下車する場所が書かれていたので
手にして渡す瞬間に知ってしまった。
彼女が降りる場所
確か・・・
「次の駅だよな~降りてしまう場所は・・・」
少し物足りなさを感じる瞬間だけど
こんな出会いでは続けようが無い。
出会えただけでもすごい事なんだ!と自分自身に言い聞かせながら
隣り合わせになったこの場面が人生で始めての変化の時のようでもあった。
運なんて信じない
偶然なんて僕には無縁だと思っていた人間なのに
こんな突然な事があるなんて!そう思っている間に・・・
彼女は最後に
「ありがとうございました」と恥ずかしそうに小声で言うと
もう一度軽く会釈して電車を降り、人ごみの中に消えていった。
その駅は大きな病院のそばにあるせいで乗降客が多い場所だった。
何が起きたのか?夢なのか?現実なのかさえ唖然とする中
気がつけばいつもの状態の毎日に戻っていた。
次は自分自身が降りる駅に気がついて・・・
いつもの時間の流れに巻き込まれていった。
いつもと変わらない毎日
・・・・
あの笑顔
そして声
シャンプーの香り
人ごみのなかでかすかに触れた肩の感覚
それは紛れも無い現実
もっと早く再会できていたのかも?
それとも・・・
ただ僕が気がつかなかったのか?
定期券には同じ方向の行き先が書いてあった。
なぜあの日は向かいのホームにいたのだろう?
そんな事はどうでもいい
出会えた事に奇跡を感じながら1日は楽しく過ぎていった。
今までと同じ時間の電車に乗る為に亮は駅に向かって歩いていた。
駅までの時間に彼女の事を思い出す事は少ない。
出会ったときのホームに立つと必ず思い出すのに・・・
そんなふうに漠然と歩いていると、後ろから声が聞こえた。
・・・
いつもなら振り向いたりしないはずなのに
そのときだけは自然に自分の事かな?と
振り向いていた。
すると・・・
そこには昨日偶然会った彼女がいた。
見かけて小走りで追いかけてきた様子が感じられる。
息を少し切らせながら
「昨日はありがとうございました!」と会釈して見つめていた。
いつもの何も無い時間が
一瞬にして特別な瞬間に変わった。
戸惑いを隠しながら
「いいえ!おはようございます!」と
「ごめんなさい!貴方をみかけて、気がついたら走ってて・・・ただお礼が言いたくて・・・」
亮はなんだか嬉しいやら照れるやらで・・・
笑顔で「いえいえ」としか答えられなかった。
とっさに「●●●駅でお仕事ですか?」と聞いていた。
すると彼女はあの笑顔で爽やかに答えてくれた。
「はい!あの駅前の花屋で仕事をしてて… 手が荒れちゃうんですけど」と
それからは二人とも笑顔のまま他愛の無い会話を少し楽しんだ。
そんな出来事の数日後
仕事の帰り道
今度は僕が勇気をもって声をかける番だ!と・・・
早速、彼女がいる駅で降りて
花屋を探し回った。
確かに街角に小さな花屋が存在していた。
亮の心には迷いも戸惑いも無かった。
勢い良く
「お花を下さい!」とドアを開ける亮
振り返る彼女の笑顔は
驚きと喜びが大きくなる瞬間の笑みだった。
亮の心では「また逢えた!」
店員のバッチに書かれている名を見て
亮の心では「“はるか”と言う名前なんだ~」と
又一つ彼女の事を知って喜びが湧き上がった。
お金と一緒に手にしていたハンドクリームを渡した。
「使ってください!」と・・・
彼女を守りたい!そんな気持ちは
亮の中でハンドクリームから始まっていった。
この後
亮は、前から憧れて、再会のために何日も駅のホームを探していた話をいつかするだろう。
そしてなぜあの日
反対側のホームにいたのか?
その理由を聞いて
その偶然の素晴らしさを改めて知ることになるのを、まだ知らない!
まだ出会ったばかりだから…
実は、彼女はいつも同じ列車に乗っていたのだから・・・
亮と同じ車両に・・・
そして傍にいた。
あの日、向かい側にいたホームでの出会いが…
彼女は忘れ物をとりに自宅に帰って戻り
慌ててホームを間違えただけの事だったなんて事も今は知らない。
いつか笑い話で二人で語る時間がくるだろうけど・・・
◆ ◆
マンネリ化した心を揺らすスパイスだったり
必要な時の大切なメッセージだったり・・・
でも変化には勇気が必要なのかもしれません。
誰かの為に・・・
何かの為に・・・
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| SHORT STORIES『 if... もしも 』scene#8「未来に答えが…」 は8月初旬に公開予定です。お楽しみに。 |

もしも未来の自分が現在に存在しているとしたら・・・
もしも過去の想いが現在も存在していたら・・・
どこからともなく訪れるサインは
自分自身へのメッセージだったとしたら・・・
あなたはそのメッセージを受け取ることができるだろうか?
TMOがお届けするこのショートストーリーズ『if ~もしも~』は誰の目の前にも必ず現れる「よりよく生きるためのメッセージ」が様々な年齢、性別、職種の人たちの前に唐突に現れる不思議な瞬間を描いています。
心穏やかに澄み切った気持ちで…
末期癌で入院中のおばあさんがベットで静かに横になっている。
医師から癌を宣告された時はとてもショックだった。
でも抵抗してもしかたがない…
そう思い始めた時にはベットで横になる毎日を迎えていた。
それで多少は楽になるけど、全てではなかった。
この年齢になって、今更長生きしたいとは想わないが、
「死」という恐怖だけが心にまとわりついていた。
いつもの病室のいつものベッドで目を覚ますと
ベッドの傍らに何処かで会ったことがあるような女性が座っていた。
その女性は笑顔でこう言葉をかけた
おばあさんは思い出した。
はるか昔の…若い頃の友人はるちゃんだった。
「はるちゃん!なんでここにいるの?」
「話し相手になりに来ただけよ~。」
「はるちゃんは変わらんね~」
信じられない気持ちに懐かしさが勝って、思わずそんなそう言葉をかけていた。
「私が変わっていたら… あなたは私が誰かわからんでしょ~」
笑顔ではるちゃんは答える。
はるちゃんは首を振りながら優しい笑顔でこう答えた。
「違うよ、私はそんな仕事はできないもの」
「私がね、会いたかっただけだよ。もっと話したかったから…」
「そうだったんね」
そんな記憶と共に過去を振り返っていた。
楽しかった過去を振り返ると自然に笑顔になる
「この場所はね~体が軽くて楽な場所よ。
暗くて寒いなんてものとは逆だわ。光り輝いてゆく感じかしらね。
人生を振り返って次の準備ができた時かしら。
もちろん命を無駄にした人にはわからない世界だけどね。」
「コンコン」
ドアをノックする音が・・・
傍にいたはるちゃんの姿が消えていた。
「調子はいかがですか?」
「薬をもらいましたけど、全身の痛みがまだありましてねぇ…」
「そうですか」
点滴を確認しながらあたりを見渡す。
「今、どなたかと話していませんでしたか?」
なぜか、はるちゃんのことは隠してしまった。
何故だか痛みが和らいでいて、そこから開放されて
身も心もとても楽だったからだ
残りの時間も短くなってしまう。
一瞬のうちにそんな気持ちが浮かんで、つい知らない振りをしてしまった。
はるちゃんと・・・
その表情には穏やかな笑顔がこぼれていた。
「変わったことがあれば、いつでもボタンを押してくださいね。」
そう言うと看護婦と共に出て行った。
母親だった。
不思議なことにいつも厳しかった思い出しかないのに
なぜか優しい表情をした若き日の母親だった。
現実の世界でのベッドの上の生活は孤独感がいっぱいだった。
でも今は、沢山の何かに見守られているのを感じはじめていた。
「あなたはもう一つすべきことがあるのよ。人の集まる場所へ…」
体の痛みを感じず穏やかな気分で・・・
体が軽く感じられる。
そして夢の中で聞いたのかも知れないあの言葉
自分の役割を教えられたような「人の集まる場所」というキーワードが心の中で響いていた。
集まるような場所なんて…
談話室
でも、そこはお見舞いの人たちと面会する部屋で、
そこに行く意味がわからなかった。
しかし喫煙室を思い出した。
そして顔見知りになり皆仲良くなっていく場所
病に弱った者同志が肩を寄せ合い一瞬の暖かさを感じる場所
自分は煙草を吸いはしないが
きっとココかもしれない
あの言葉の答えがきっと… ここに
奇跡のように身体を動かすことが出来た日には必ず
そこへ行くようにした。
答えたり・・・
或る日の真夜中… ベッドで目を覚ますと、亡くなった母親を中心に、はるちゃん
そして多くの死で別れた顔見知りの優しい表情をした人達が待っていた。
ゆっくりと立ち上がった時は身体が軽くなっていた。
全身の痛みも無い。心も体も開放された気分。
みんなの傍に行きゆっくり後ろを振り返ると
ベットで横たわった自分自身の姿がそこにはあった
呼吸はしていないがうっすらと笑みを浮かべた自分の最後の姿だった。
「人の集まる場所へ行く意味は・・・?」
すると言葉もなく
「未来にとって必要なことだったのよ ある少女のためにね」
そうどこからともなく言葉が浮かんだ
帰る場所を知っているかのような安堵の表情で、
故郷に帰ってゆくように、まばゆい光の中へと消えていった。
そこには恐怖も絶望もなく…
自分の役目を果たしたかのような満足感が広がり
光が消えても、その充実感と暖かさが、病室の空間に漂い続けた。
その答えはその場ですぐに見えない事もある
私達は、時を経て全ての意味が見えるように
スケールの大きな場所"ここ"に存在しているのです。
| SHORT STORIES『 if... もしも 』scene#7 は6月下旬に公開予定です。お楽しみに。 |
もしも未来の自分が現在に存在しているとしたら・・・もしも過去の想いが現在も存在していたら・・・
どこからともなく訪れるサインは
自分自身へのメッセージだったとしたら・・・
あなたはそのメッセージを受け取ることができるだろうか?
TMOがお届けするこのショートストーリーズ『if ~もしも~』は誰の目の前にも必ず現れる「よりよく生きるためのメッセージ」が様々な年齢、性別、職種の人たちの前に唐突に現れる不思議な瞬間を描いています。
心穏やかに澄み切った気持ちで…
白衣を着て首からは聴診器をぶら下げ
今日も救急で病院内を走り回り、一睡も出来ないで終わりなく入院患者を回診しているのは
裕介39歳二児の父
最近次女が生まれたばかり
だから家で眠ることも数えるほど
自宅は郊外だからついつい仮眠室で寝泊りする事が多々あった。
疲れた目に鞭を打つように最後の入院患者の様子を見る
いきなり返ってきた言葉が「ほっといてよ!」
横を向いたまま「なぜ死なせてくれなかったの?」と叫ぶ女の子
傍にいた母親が「すみません」と申し訳なく頭を下げていた。
「そっとしておいたほうが良さそうですね」
そう言葉にした
寂しいような苦しいような・・・
複雑な気分
間違っていないとも思う。
しかし、命を救っても迷惑に想われることほど苦しいものはない
「例えどんな状況でもやれるべきことをする
それが基本なんだ!」と心の中で繰り返していた。
産科・婦人科で新しい命が産声を上げて誕生している。
それを喜ぶ人達
治す為だ。
死にたくても死ねないで苦しい中運ばれてくるケースがある。
もちろん間に合わない人もいるが…
生きていたくても生きられない人もいる中で…
熟睡してしまった。
今日は自宅に帰ることができるのに…
「先生!…」
「こん睡状態の患者が目を覚ましました!」
そのまま仮眠室を飛び出していった。
部屋に入るとこん睡状態の男性が
爽やかな顔でこちらを見つめて座っていた。
先生の後ろから見ていたよ。」
「まだちゃんと検査するまでは安静ですからね。おとなしくしていてくださいね。」
そう苦笑いをしながら心音と脈をチェックをした。
「貴方は素晴らしい職業についていますが自分や家族をもっと大切にすべきです」
すると患者は深い眠りについている。
今の声は誰だったのだろう?
その瞬間に…
「おやすみの所申し訳ありませんが起きてください。」
「自宅にお帰りだと想っていましたが見つけてしまったものですから… お休みの所すみません」
「意識不明の患者さん!目が覚めたんです。」
一気に目が覚めて駆け足で患者の部屋に飛び込んだ。
意識を取り戻し始めた様子だった。
名前を呼ぶと答えてくれた。
両手両足ともまだ指先だけだが動いた。
簡単に居場所を説明して安心させた。傍には家族らしき人達が涙を流しながら喜んでいる
「先生ありがとうございます。」
そしてこの仕事に就けてよかったと想う瞬間だ。
「貴方は素晴らしい職業についていますが自分や家族をもっと大切にすべきです」
心に響いてくる。
「ではまだ安静ですからね。」そう伝えると
部屋のドアを閉めた。
「自分や家族をもっと大切にか!」
廊下を歩きながら
白衣と聴診器を丸めて隣を歩くベテラン婦長さんに渡すと
そのまま仮眠室に寄らず長い廊下の先の非常階段から帰るべき場所へ向かった。
家族の待つ自宅へ
そこは切り替える為の空間
違う関わりと違う役割の場所
◆ ◆
大切な家族や心の安らぎすら見えなくなる
自分を大切に出来るのは自分でしかない。
環境が… という言い訳は通用しません。
貴方の人生は貴方が決めているのです。
どんな結果も貴方の決断と行動から生じていることを忘れてはいけません。
| SHORT STORIES『 if... もしも 』scene#6 は6月中旬に公開予定です。お楽しみに。 |
もしも未来の自分が現在に存在しているとしたら・・・もしも過去の想いが現在も存在していたら・・・
どこからともなく訪れるサインは
自分自身へのメッセージだったとしたら・・・
あなたはそのメッセージを受け取ることができるだろうか?
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心穏やかに澄み切った気持ちで…
白衣を身をまとった看護師 由美
いつものように懐中電灯を片手に当直で深夜の見回りをしている
大病院で看護師として勤務を始めて3年目
やっとこの仕事も慣れてきた。
でも
心のどこかで何か腑(ふ)に落ちない気分の瞬間があった。
病気に向き合う場所 病院で起こる人間模様だった。
どうしても治癒できない場面もある
彼女には何かしっくり来なかった
大怪我した患者
内臓の切除の為の患者
最近多いのは突然倒れて回復する患者とそうでない患者の違いだった。
外傷は無くても・・・
そのまま帰らぬ人になるケースと
そうではないケース
外傷があっても何の障害もなく回復するケースも見てきた。
そんな場面を目の当たりにしていると、生死を分けるものは一体何なのだろうと思うことがあった。
意識不明の患者を通しての人間模様だった。
先日も
意識不明の男性が数日後に目覚め
奇跡的に回復して退院していった。
その一方では
そのまま帰らぬ人になるケースも多い
数々のケースを見ていると
ある部分が見えてきた。
そうでない人の違いに何か意味があるような・・・
生きることへの姿勢が変化。一転している一面もあるような
それは
人が変わると言われるような出来事なのかもしれないが
生死をさまよった多くの人の生き方が180度変わる人がいるという話を聞いたことがある
それと同じように
生きる意味を探す人 生きることに感謝する人
生きていることを喜ぶ人
目覚めた人たちのその後の生き方は
死と向き合った、その出来事から立ち上がり
人生をやり直しているように、どうしても感じられてしまう。
今度は小児病棟の担当になった。
子供は大好きだった
でも
子供が元気になる姿は心も軽やかになるが
その反対にある悲しいケースも多々ある。
今 気がかりなのは302号室の5歳の少年だった。
入退院を繰り返している。
かなりの難病だということは耳にしていた。
そして傍にいる人に話しかけて周りをいつも笑顔にする
話すことは楽しいこと
本を読んだ感想など興味があるものを素直に言葉にする少年だった。
由美はその少年の瞳が好きだった。
前向きな姿勢も・・・
ある日
夜勤の交代前の朝の検診で少年に突然質問をされた
「このお仕事好き?」
体温計を見つめながらカルテに記録する瞬間に質問された。
由美は戸惑いながら・・・
「ん・・・そうね~」
すぐには答えられなかった。
そうじゃない時はどうしてもやるせない気持ちも残ってしまう。
戸惑いながら何かあたりさわりない言葉を返そうと考えていると
少年はつぶらな瞳で由美を見つめながらこう言った。
「天使っていると思う?」
「さぁ~どうかしらね~」
とっさにこれしか台詞が出ない自分が恥ずかしくもあった。
「天使も仕事があるんだと思うんだよね。だから皆お仕事しているのかも。僕も…」
「僕も…?」
カルテを見つめながら少年に目を向けると・・・
さっきまで話していた言葉は何だったのか?と思うような現実がそこにあった。
吐息が聞こえるほど熟睡している。
体温チェックは異常なし
それとも幻聴なのか?
少年の言葉が気がかりのままで帰宅することになった。
「いつか確認しよう」
自宅に帰り、その日は夜勤の疲れを癒すように部屋を暗くして眠ることにした。
眠ることが最大の癒しだから・・・
いつものように交代の時間がやってきた。
連絡事項の引継ぎがはじまった。
新しい入院患者の報告
退院患者の報告
注意点の報告
そして、最後に302号室の少年が急変して亡くなられた報告と共に・・・
立ち上がり現実を確認するかのように部屋に走っていった。
ドアを開けると・・・
そこには綺麗に片付けられた白いベットがあるだけだった。
その上には花束・・・
涙がこぼれ流れる前に
疑問だけを残していなくなるなんて・・・という
苛立ちが沸いていた。
あんなに元気だったのに・・・
あんなに透き通った強い瞳をもった少年だったのに・・・
気のせいなのかもしれないあの言葉
沢山の意味を持つこの言葉は
由美が今後見つめていかなくてはならない出来事の始まりになった。
その最後に聞いた言葉は
いろいろな意味を帯びていた。
少年が言った言葉の意味を・・・
何かもっと深い意味や理由
「僕も…」と言った答えが見つかるような気がして
仕事に対する迷いは消え、驚くほどに集中している自分が居た。
でも全ての答えが必ずここに存在しているような気がして
そして、答えが存在しているのなら、
自分次第で何か一番大切なものを見つけ出せるような… そんな確信があって
朝の通勤する人ごみをかき分けるように逆行し
帰宅する彼女の後姿があった。
その後姿は、自分の仕事への誇りと充実感だけにとどまる事なく
雑然として苛立った都会の朝の空気の中に
僅かに凛とした空気を浸透させようとしていた
◆ ◆
どんな人も、この場所では、欠かせない存在であり
欠かせない大切な役割がある。
言葉も大切な役割を持って様々な形で心の中に入り込み、そのメッセージを響き渡らせる。
ただし… その言葉は、意味を見つけようとする人にだけ答えを見せてくれる。
その人の心次第で、見えない答えはメッセージとなって、その人生にしみ込んで来る。
| SHORT STORIES『 if... もしも 』scene#5 は6月上旬に公開予定です。お楽しみに。 |
もしも未来の自分が現在に存在しているとしたら・・・もしも過去の想いが現在も存在していたら・・・
どこからともなく訪れるサインは
自分自身へのメッセージだったとしたら・・・
あなたはそのメッセージを受け取ることができるだろうか?
TMOがお届けするこのショートストーリーズ『if ~もしも~』は誰の目の前にも必ず現れる「よりよく生きるためのメッセージ」が様々な年齢、性別、職種の人たちの前に唐突に現れる不思議な瞬間を描いています。
心穏やかに澄み切った気持ちで…
小学3年生の少年 隼人(はやと)
赤い貯金箱を持って
「花がほしいんだけど…」
ちょっと恥ずかしそうに「これで買えるだけ下さい」とその貯金箱を差し出した。
店員(はるか)はその少年に「プレゼントなのかなぁ?」と聞いてみると
少年は恥ずかしそうに「そんな感じかな?!」と照れた様子で答えた。
はるかは… 好きな女の子へのプレゼントなのかしら?と想いつつ
「じゃ~安くしてあげる。」と
小さな花束を作って手渡した。
「おね~さんありがとう!」
隼人ははじけるような元気な声でお礼を言い
受け取った花束を見つめると満面の笑顔で走り去って行った。
隼人は花屋の角を駆け足で曲がりその先にある駅へと向かった。
電車で40~50分ある場所まで花束を持っての小さな旅の始まり。
その日は土曜日で家族連れも多かった
その中でも隼人の目つくのは親子の姿だった。
優しい両親と自分と同年代の子供達のお出かけの風景は
隼人にはいらだたしさとなって心をかき乱していた。
それもそのはず…
隼人の自宅ではいつも両親の夫婦喧嘩が絶えなかった。
共働きでめったに二人が一緒に居ることはないのに
たまに両親が顔を付き合わせれば・・・
激しい言い合いが始まってしまう。
両親の口論は隼人には難解で感情的で理解しがたいものなので
その度に、自分の部屋に引きこもって宿題をするか
テレビのボリュームを上げて、その口論の恐怖に怯えていた。
子供の目からは理解しがたい大人の世界の問題である
隼人の両親は共に訳があり
この3人以外に親戚や身内も誰もいない家族でもあった。
電車の車窓からは30分もすると
街の巨大で無愛想なビルから少しずつ緑が広がってゆく景色へと変わっていった
車内にいる人も減り、心地よい空気が通って過ごしやすくなってきた。
目的の駅まであと少し
・・・
隼人の隣に座っていたおばあさんが話しかけてきた。
「ぼうやはやさしい子なんだね」
そう笑顔で声をかけてきた。
隼人はびっくりして固まっていた。
どうやら小さな花束を見て声をかけてきたようだった
隼人がびっくりしながら
唖然としていると…
おばあさんはおもむろにポケットから飴玉を取り出して
差し出した。
隼人はぺこりと頭を下げて受け取ると
小さな声で「ありがとう」とお礼を言い
包み紙を開いてすぐ口の中に入れた。
花屋さんで少し話しただけで
誰とも言葉を交わしていなかったせいなのか?
電車の中での緊張感のせいなのか?
その飴の甘い味は隼人にはたまらなく美味しかった。
おばあさんは隼人が手に持った花を優しい眼差しで見つめながら
「色々あるだろうけど頑張るんだよ」
そう言うと、タイミングよく停車した駅で電車から静かに降りていった。
隼人はまたしてもぺこりと頭を下げるだけで
ただただその老人の後姿を見つめていた
そして列車はゆっくりと走り始めて…
一人になって考えるのは
やはり、おばあさんの言葉だった。
優しいおばあさんの笑顔
そして安らぎを感じる声の響き
口の中ではまだ飴の甘い味が気持ちを癒すように広がっていた。
「色々あるだろうけど頑張るんだよ」
その言葉はこころの中に沢山の優しさを感させてくれた
知らない人の言葉と優しさが瞬間的に触れてくれたような気がしていた
きっと隼人の感情が、そう感じたのだろう
いつも孤独を感じていた少年は
何か熱いものが胸にこみ上げて来るのを感じていた。
その瞬間
電車が降りる駅に停車していることに気がついて・・・
あわてて花を抱えて小走りに下車した。
改札を抜けるとそこは静かな町並みだった。
確か・・・
少年は何年か前に行ったことがあるだけの記憶をたどっていた。
その時はお母さんと一緒だった。
この道をまっすぐに行って
その角の竹林を通り過ぎて小高い丘を登れば
確か…
駅から30分は歩いただろうか?
隼人は、やっと目的の場所にたどり着いた。
それはもう一つの家族が眠っている場所だった。
親戚家族がいないと想っていたらおばあちゃんがいたと言う話
そして初めての対面は葬式だった。
数年前に来たときは沢山の人がいた。
でも 墓石の前で皆の真似をして両手を胸の前で合わせた時
心が静まり落ち着いたのを覚えていた。
いつかひとりでここへ来たかった。
唯一の家族の元へ
なかなか来れなかったけど
お母さんの唯一の家族の場所 おばあちゃんの眠るここへやってきたのだった。
その丘から海も見えた。
海から優しく届く潮風が気持ちよくて静かな場所でもあった。
少年は記憶にある姿を見よう見真似で…
花をたむけて
手を合わせた。
何をお願いするわけでもなく
目を閉じて…
聞こえてくるのはかすかな風の音が耳にぶつかる音だけ…
心が静まると
電車でのあの言葉が蘇ってきた
「色々あるけど頑張るんだよ」
再び心に響いた言葉は
まるで眠っているおばあちゃんからの言葉のように
隼人に聞こえ始めた。
天気は良くて暖かな春の日
隼人は少しピクニック気分でもあり、
何と言っても、一人でここまでこれた達成感に高揚していた。
お母さんがお昼ご飯にと用意してくれたおにぎりを3つ持ってきていた。
その一つをお花の横に置いて
遠くに見える海の先の水平線を眺めて残りのおにぎりを口にした。
そのおにぎりの味は塩味が利いていて、ちょっぴり大人になった気分もして美味しかった。
ここで眠っているおばあちゃんと隼人は生前一度も逢った事が無かった。
ただ両親以外に身内がいたことを知って、
それだけで救いようのない孤独感から開放されたような気がして
一人で来れるまでには数年かかったけど
会った事が無いおばあちゃんがだけど
おばあちゃんが存在していた事実は今の自分の心の奥底でいつまでも生きている…
心の隠れ家… ここは隼人にとって、そんな"安息の地"とも言える場所になっていた。
日もどっぷりと暮れ、気を抜くとすぐにでも気持ちが暗くなるような空気が流れる両親の待つ家に
隼人の元気な声が響いた。
「ただいま!」
その声は確かに無邪気な少年の声だったが
そこから伝わってくる響きの中には、少し大人になったような逞しさと優しさが溢れ
薄暗い家に、小さいが力強い、確かな灯を点した。
ちょうどその頃…
駅の傍の花屋では、はるかが綺麗な花達に水をやりながら、数年前のおばあさんの言葉を思い出しているところだった。
「あれから3年…たしかこんな季節だったなぁ」
あの時と今の自分を比べて・・・
自分の内面で成長した心を確信していた。
花の命を大切にする事と同じように
今のはるかは、自ら自分の命を台無しにするような馬鹿なまねはしない大人になっていた。
誰でもが出会うあの日の言葉…
はるかは、3年前に出会ったその言葉と共に穏やかに生き
そして、小さな隼人は、
今、その言葉と出会ったばかりだった…
◆ ◆
居場所
誰にでも必ず、それぞれの心地良い場所があります。
ただそれを見つけることが難しいのかもしれない。
あなたは、本当に必要な場所をみつけていますか? そして、そこに居ますか?
まだならば、すべての出来事に肯定的に心を開いてください。
ヒントは毎日あなたの周りを彷徨っているはずです。
| SHORT STORIES『 if... もしも 』scene#4 は5月下旬に公開予定です。お楽しみに。 |
もしも過去の想いが現在も存在していたら・・・
どこからともなく訪れるサインは
自分自身へのメッセージだったとしたら・・・
あなたはそのメッセージを受け取ることができるだろうか?
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心穏やかに澄み切った気持ちで…
夕焼けの美しい時刻
救急車がけたたましいサイレンを鳴り響かせながら
病院に到着した。
病院の救急扉からは、看護婦と救急担当医が数名飛び出してきた。
救急車の中から運び出されたのは呼吸器と点滴をつけられた少女。
その傍らには泣き叫ぶ母親の姿も・・・
その少女の洋服は赤く染まっていた。
救急隊とその病院スタッフの対応は真剣そのもの
緊迫感の中、一刻を争う緊急処置が始まった。
少女が運ばれてきたのは"命を助けたい気持ちの人のいる場所"。
医者とスタッフはベストを尽くして少女の命を死の闇から救い出そうとしていた。
この少女の名前は武田はるか15歳
自殺未遂を起こして病院に緊急搬送された。
手首には生々しいいくつかのためらい傷が。
過去にも何度も未遂事件を起こしてここに運ばれているのを知っているスタッフ全員がその現実に唖然としていた。
この少女に何があったのか?
スタッフは何か思いつめるような問題があるのだろうと察知していても
それ以上は関与できなかった
それ以上は専門分野の仕事でもある。
命を惜しまない人
それを救う人
患者が、延命や治癒の手を求める不思議な場所
それが病院である
はるかは目が覚めた
自分が生きている現実に苛立ちを覚えて
暴れた。
「何故助けるの? なぜ死なせてくれないの?」
母親はどうすることも出来ず部屋を出て行った。
担当医が優しく"どんな具合か"をたずねても答えることさえせず窓の外を見つめていた。
それもそのはず
死にたい少女
死なせる訳にはいかない医者
それぞれの役割も想いも180度違うのだから・・・
看護婦も担当医もひとまず役割は終わり
精神科の専門医にお願いすることにしてカウンセリングを奨めた。
入院中は強制的にただ話しをさせられるだけの場に何度も行かされた。
過去にも何度か精神科でカウンセリングを受けたことがあるが
話をしても医師は何も答えずメモを取るだけ
そんな時間は無駄だとわかっていた。
今回は話をする気も無くただ黙ったまま時間を過ごした。
相手も黙ったまま。
そんな意味のない時間が過ぎていった。
入院中は退屈だった。
消灯が過ぎても眠れなくて
病院内をうろうろと歩き回っていた。
入院患者が数人集まっている場所が目に付いた
その中にうすぐらい闇の中で座っているおばあさんが見えた。
そこは喫煙所
タバコを吸うわけでもないのに静かに座っているおばあさん。
何故そこにいつまでもいるのか?
始めはタバコを吸っていた人も吸い終わるとそれぞれが思い思いに自分の部屋に消えていった。
はるかは、ウロウロしながらいつまでも座っているおばあさんが気になっていた
まさか幽霊ではないよね? と目を疑うほどに静かに座っているおばあさん。
空気のように自然にその場に溶け込んでいるせいか
はるかは、引き寄せられるようにおばあさんの傍に座ってしまっていた。
あまりに物静かに座っているのでペコリと会釈してみると・・・
おばあさんも笑顔で会釈を返してくれた。
その笑顔は優しく
作り笑いや適当な挨拶なんかではなく心和ませてくれる笑顔だった。
病院に来る数日前から人とまともに向き合っていなかったせいなのか
なんだか自分の心が和んでいるのを実感していた。
何故なのか?それはわからなかった。
はるかはつい言葉を発していた。
「ここでなにをしてるの?」
するとおばあさんは・・・
笑顔で振り返りこう答えた。
「生きている実感を味わっているんですよ」と・・・
はるかは何を言っているのかわからなかった。
手首の包帯を隠しながら
心の中で「何を言ってるんだろう?意味不明だわ~ボケているのかしら?」
そんな疑問もよぎっている瞬間に
おばあさんは
「あなたにはこれから素晴らしい人生が待っていますよ」とそれだけ告げてゆっくり立ち上がり薄暗い廊下を静かに歩いて消えていった。
そこへ
タバコを吸いに一人の女性が現れた。おばあさんと入れ違いで・・・
爽やかな雰囲気のその女性は話し相手が欲しかったのか「今日はおばあさん早く部屋に戻ってしまったのね~」と残念そうにつぶやいた。
はるかはついつい
「あのおばあさんとは仲がいいのですか?」と聞いてみた。
すると女性は
「私は検査入院で1週間ここにいるけど・・・
この場所は喫煙者と寂しい人の集まる場所になっててね~
それぞれが気持ちを話してそれぞれの部屋に戻ってゆくの・・・
おばあさんはね噂では癌で末期らしいわ~家族も無いらしいの
誰も何も言わないけどここにいる人の多くがいろいろな問題や苦しみ 不安を抱えているけど
希望の無いおばあさんのあの優しい笑顔を見ると"生きていること"を感謝しなきゃ~って思えるわ」
「あなたは若いから・・・うらやましいわ~これから何でも出来るじゃない!」
その女性もそういってタバコを消し
「おやすみなさい!」と挨拶をして暗がりへ消えていった。
はるかはしばらくタバコの煙の匂いの中で呆然としていた。
あの笑顔で優しそうなおばあさんが死んでしまう
いなくなってしまう。
涙がただただ流れていた
知らないおばあさんなのに・・・
生きられないなんて・・・
人を想い涙を流すなんて初めてなのかもしれない。
でもはるかは泣いていた。
誰かがいなくなる悲しみを感じていた。
母親の気持ちが今わかるような気がした。
数年後
爽やかな女性の言葉と
そのおばあさんの言葉を胸に
2度と自分から命を絶とうとするような事はしなかった。
それは希望ある言葉のおかげ
あの言葉・・・
「あなたにはこれから素晴らしい人生がまっていますよ」
「何でもこれから出来るじゃない!」
現在はるかは花屋で働いている。
それは命の尊さを感じられる美しい花たちに囲まれて
おばあさんへの感謝の気持ちと共に・・生命を見ていられるから

命を自ら絶とうとするものの心は
救うものでは癒されない
命の無いものに癒されてこそ、目を覚ますのかもしれない
| SHORT STORIES『 if... もしも 』scene#3 居場所 は5月中旬に公開予定です。お楽しみに。 |

もしも未来の自分が現在に存在しているとしたら・・・
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どこからともなく訪れるサインは
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心穏やかに澄み切った気持ちで…
★ ★
数日前救急車で、この救急病院に運ばれてきた男性"山田 豊"32歳会社員
3日前に意識不明の状態でここに搬送された彼。
会社で突然倒れ、その意識は眠り続けていた。
その身体は、真っ白な部屋の真っ白なベットに横になったまま
隣には心配そうな妻が
2人の子供を両親に預けて付き添っていた。
指先が動いたかと思った瞬間
豊は意識を取り戻し、目を覚ました。
3日ぶりの目覚めとも知らず・・・
身体が思うように動かない
そして、ここはどこなのか?
何故ここにいるのか?
そんなことさえ把握できないままの目覚め
驚いたのは本人だった
重い身体と酷い頭痛
上手く働いていない平衡感覚も
彼の気分を更に悪くさせていた
現実が把握できない
その苦しみから逃げるように
彼の意識は再び遠のいて行く。
暗黒の世界 目には見えない無の世界へ・・・
耳元では女性の声
妻が驚いてナースコールする声を尻目に
意識は再びどんどん静かに遠のいていった。
どれくらいの時間が過ぎたのだろう?
次に再び目が醒めた時
頭にすがり付いていた痛みは若干薄らいでいた。
目の前では
喜んでいる妻の姿と、驚いて様子をうかがう担当医らしき人
そして看護婦数人が自分を取り囲んでいた
いきなり
「気分はどうですか?」と聞かれ
頭の重さと体の感覚のおかしさなどをたどたどしい言葉で伝えていた
「あなたの名前は?」と言う質問に戸惑いつつも
思い出と共に頭に浮かんだ名前をそのまま言葉にしていたが…
自分が誰であったかという記憶を辿っている自分が、あまりにも不思議だった。
医師は『過労』という診断を告げた
倒れた拍子にオフィスの床で頭を強く打ち、
そのまま意識不明の状態が3日間続いて
意識が戻るかどうか、楽観できない状態だったと後から聞いて
「死」と言う言葉や
植物人間の自分の姿を連想した瞬間
心が凍りついたのを感じていた
それからも数日間は思うように身体は動かせなかった
懐かしくも感じられる健康のありがたさも同時に感じていた
元気な時は感謝など一切無いのに・・・
失って分かる健康の素晴らしさでもあった。
たただだ白い部屋の白いベットに横になったまま
白い天井を見上げては
壁の塗装の亀裂を追う時間…
常に活動的に生き
休日も何かと用事を作っては飛び回っている性格の豊には苦痛でもあった。
自分を過去を見つめなおすなんて…
ましてや
ベットに横になっている自分の姿など想像もしていなかった
思考は流れ流れて… 流れ着いたのは
倒れる日の記憶だった
その日はいつものように
朝食を済ませて
いつものように通勤電車に乗り
その日に限って座席が空いていた事などを思い出していた
椅子に座って会社まで吊り広告を眺めていた瞬間を思い出して
いつもは吊り広告なんて目に入らないのに・・・
そこには"健康づくり"と言う広告があったのを思い出していた
なぜ目に飛び込んできたのだろう
なぜその日はそこを見上げていたのだろう?
その日の様相がいつもと違っていたという記憶が溢れ出した
あれは不思議な日だったんだ…
会社に出社すると
いつも声をかけない人から挨拶をされた
物静かな人や苦手な人から挨拶をされて
戸惑いながらも、なんだか穏やかな気分になれた日でもあったのに
それから
しばらく業務をこなしていると
軽い頭痛がはじまり
いつもの事だと気にしないようにして…
昼食を済ませた後の会社へ向かう時
こんな都会で耳にするはずのない、
空を舞う鳥の羽ばたく音が生々しくすぐ傍で聞こえたような気がして
振り返ってみると
遥か遠くで鳩が飛び立って行く姿が見えた。
大空へ・・・
その見上げた空には大きな広い青い空が広がっていて
その瞬間に感じた
開放的な気分が今蘇って来る。
そのまま急いで会社に戻り
いつもの仕事をこなしていて・・・・
次の瞬間
気がついた時はこの白いベッドの上だった。
意識が戻ってきた時の心の衝撃は今でも忘れはしない
ここはどこなのだろう?
私は誰なのか?
何をしているのか?
何をすべきなのか?
戸惑いばかりの中
いつのまにか自分の人生を振り返っていた。
自分には大切な家族があった事
家族の顔が走馬灯のように蘇って
断片的な記憶を修復しているようだった
そして仕事をしている自分の姿
その会社に入る前の気持ちとそれからの変化
今の居場所までを客観的に見つめられた
それなりの地位があり満足している仕事である
過去を振り返る事すら忘れて
忙しくしている自分が滑稽にも見えた
気がつけばベットで横になりながら
何がいけなかったのだと過去を振り返っている自分。
不健康とは気持ちが落ち込んでしまうものだからなのかもしれないが
気がつけば何かのせいにしたくて
何故なのか?何故こうなるのか?私が・・・と
悲劇のヒロインのような気持ちにさえなりつつ
自然と客観的に"生きる事"を見つめていた
目がさめてしばらくは
精密検査が続いた
それと同時にいろいろな人がお見舞いに駆けつけてくれた。
関わっていた人たちが心配そうに見つめながら
自分の回復を笑顔で喜んでくれていた。
それと同時に過去の自分の人間関係も
なぜだか鮮明に見え感じ取れるようになっていた
それが
本心から心配してお見舞いに駆けつけた人なのか?
そうじゃなく仕方なく駆けつけた人なのか?
いつもと同じように接していても
自分の心の何処かで相手の心の真実が見えた
不思議な感覚…
客観的に自分を見つめられる視点は
人生のやり直しに必要だからなのかもしれない
もしも目がさめなかったら・・・
自分は何の為に生まれてきたのだろう?
そのまま闇の世界で終わっていたら・・・
生きる理由
生きる事の大切さ
人は生まれてそしていつか死ぬ
来た場所へ戻るとさえ言われているが・・・
なぜ
ここに
なぜ生まれてきたのだろうか?
何の為に・・・
そんな疑問が唐突にわきあがり
そのまま思考は流れていった。
病院側は
まだ数日様子を見たいということで
3日後の退院を許可した。
入院して10日ほどになる。
頭を打ったからなのか?
時々偏頭痛が起きた
担当医はMRIでも異常が無いと笑顔で答えていたが・・・
天気が悪い時の気圧の問題なども影響があるかもしれないと言われた
その偏頭痛は
今までに無い不思議なものだった。
そして、眠りについては不思議な夢を見た。
今までは夢など覚えていなかったのに
眠る事が多いからなのか?
肉体的には元気だからなのか?
夢を覚えている事が多かった。
その夢の多くは
自分自身が子供だったときの様子だった。
4・5歳の頃から
7歳くらいまでの自分自身の姿である
無邪気に遊ぶ自分自身
夢中になって何かと戯れる姿だった
今の自分にも無邪気さは多少残っていた
忙しくする事と共に興味のある事にはチャレンジしていた
夢の続きはまだあった。
子供の時のその少年は
夢中になると時間がわからなくなるほど
その物事に没頭していた
興奮して眠れない事も・・・
家に帰る事も忘れるほど暗くなるまで・・・
冬の寒さも気にならないほど・・・
家で待つ心配する家族の事なども・・・
すっかり忘れるほどだった。
それほど・・・
その時、今と同じ一面を垣間見ていた。
無邪気さ
探求心の気持ちは
大人になっても
家族の事を忘れて
体力・睡眠の事など限界を忘れて・・・
息抜きをする事すら忘れ
忙しくしている毎日に
今回のような結末はまるで
子供の頃、夢中になり過ぎて高熱を出す前の自分の姿そのもだった
今回の倒れてしまった意味は
不運でも突然のアクシデントでもなく
自己責任の結末
自分を大切にしなかった結果でもあった。
忙しくしている事を美学と思う自分自身のあまりに
悲しむ家族の事
限界がある体力の事などを感じて恥ずかしくなった
「俺は何をしているんだろう?」
楽しい事
夢中になることの限界をこんな形でしか見つめられない自分を恥ずかしくも感じていた。
今でも忘れられない
妻の目覚めた時の喜びの声が・・・
様子が・・・
一つ間違えれば悲しませてしまう結末がそこに・・・
入院・・・
誰かが自分を見つめる為に与えてくれた時間なのではないかと
残りの3日間を優しく自分の過去を振り返る時間に費やす事にした
今の現状をありのまま受け入れる事
それは自分を大切にする事
出来事の問題を何かのせいにするのではなく
自分で認め受け入れて、初めてどう生きるねきなのかが分かのかもしれないと
屋上から街の様子を見下ろしながら
いつもと変わらない街並みは
夕日がまぶしくいつもより輝いて見えた。
心の変化は、深呼吸する空気も新鮮に美味しく感させてくれるものだと
初めて生きる喜びを満喫している自分が愛おしく思えた。
そこへ
救急車の音が遠くから近づいてくる
ここへそうやって自分自身も運ばれてきたんだな…と思った瞬間
豊の気持ちにははっきりと結論めいたビジョンが見えた。
そして、自分が倒れてからここ数日の出来事や過去への記憶の旅が
自分の人生を左右する重要なメッセージであったことに気がつき始めていた。
もう2度と暗闇の世界には返りたくない
この美しい夕焼けの世界で
もう少し生きていきたい
生きて行こうと何か希望のようなものを感じながら
もう一度新鮮な空気を感じたくて、深く深く呼吸をした。

人は"何か"を失いかけて
"何か"を感じ手に入れることが出来る
その"何か"を上手く受け入れられないと
同じことが延々繰り返される
誰かのせいではなく
再び 同じ"何か"が起きない為に
"何か"を感じる時間
そう・・・
それは
当然のようにあるものへの感謝なのかもしれません。
| SHORT STORIES『 if... もしも 』scene#2 命 は4月下旬に公開予定です。お楽しみに。 |