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出来事から感じられる大切なメッセージを描いたオリジナル短編小説シリーズ『if... ~もしも~』『Why?』を不定期執筆中。現在Twitter ikokoro & ikokoro_bookを発信中。ミニ短編だよ。(^^;)140以内なの!
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もしも未来の自分が現在に存在しているとしたら・・・
もしも過去の想いが現在も存在していたら・・・

どこからともなく訪れるサインは
自分自身へのメッセージだったとしたら・・・
あなたはそのメッセージを受け取ることができるだろうか?

TMOがお届けするこのショートストーリーズ『if ~もしも~』は誰の目の前にも必ず現れる「よりよく生きるためのメッセージ」が様々な年齢、性別、職種の人たちの前に唐突に現れる不思議な瞬間を描いています。
そのメッセージが主人公に届ける『人生の調和』をしっかりと見つめてください。
心穏やかに澄み切った気持ちで…
 
 
         ★         ★

駅のそばの角にある小さな花屋さんに飛び込んできたのは
小学3年生の少年 隼人(はやと)
赤い貯金箱を持って
「花がほしいんだけど…」
ちょっと恥ずかしそうに「これで買えるだけ下さい」とその貯金箱を差し出した。

店員(はるか)はその少年に「プレゼントなのかなぁ?」と聞いてみると
少年は恥ずかしそうに「そんな感じかな?!」と照れた様子で答えた。
はるかは… 好きな女の子へのプレゼントなのかしら?と想いつつ
「じゃ~安くしてあげる。」と
小さな花束を作って手渡した。
「おね~さんありがとう!」
隼人ははじけるような元気な声でお礼を言い
受け取った花束を見つめると満面の笑顔で走り去って行った。

隼人は花屋の角を駆け足で曲がりその先にある駅へと向かった。
電車で40~50分ある場所まで花束を持っての小さな旅の始まり。
その日は土曜日で家族連れも多かった
その中でも隼人の目つくのは親子の姿だった。
優しい両親と自分と同年代の子供達のお出かけの風景は
隼人にはいらだたしさとなって心をかき乱していた。

それもそのはず…
隼人の自宅ではいつも両親の夫婦喧嘩が絶えなかった。
共働きでめったに二人が一緒に居ることはないのに
たまに両親が顔を付き合わせれば・・・
激しい言い合いが始まってしまう。

両親の口論は隼人には難解で感情的で理解しがたいものなので
その度に、自分の部屋に引きこもって宿題をするか
テレビのボリュームを上げて、その口論の恐怖に怯えていた。

子供の目からは理解しがたい大人の世界の問題である

隼人の両親は共に訳があり
この3人以外に親戚や身内も誰もいない家族でもあった。

電車の車窓からは30分もすると
街の巨大で無愛想なビルから少しずつ緑が広がってゆく景色へと変わっていった
車内にいる人も減り、心地よい空気が通って過ごしやすくなってきた。

目的の駅まであと少し

・・・

隼人の隣に座っていたおばあさんが話しかけてきた。

「ぼうやはやさしい子なんだね」
そう笑顔で声をかけてきた。
隼人はびっくりして固まっていた。

どうやら小さな花束を見て声をかけてきたようだった

隼人がびっくりしながら
唖然としていると…
おばあさんはおもむろにポケットから飴玉を取り出して
差し出した。

隼人はぺこりと頭を下げて受け取ると
小さな声で「ありがとう」とお礼を言い
包み紙を開いてすぐ口の中に入れた。

花屋さんで少し話しただけで
誰とも言葉を交わしていなかったせいなのか?
電車の中での緊張感のせいなのか?
その飴の甘い味は隼人にはたまらなく美味しかった。

おばあさんは隼人が手に持った花を優しい眼差しで見つめながら
「色々あるだろうけど頑張るんだよ」
そう言うと、タイミングよく停車した駅で電車から静かに降りていった。

隼人はまたしてもぺこりと頭を下げるだけで
ただただその老人の後姿を見つめていた
そして列車はゆっくりと走り始めて…

一人になって考えるのは
やはり、おばあさんの言葉だった。
優しいおばあさんの笑顔
そして安らぎを感じる声の響き
口の中ではまだ飴の甘い味が気持ちを癒すように広がっていた。

「色々あるだろうけど頑張るんだよ」
その言葉はこころの中に沢山の優しさを感させてくれた
知らない人の言葉と優しさが瞬間的に触れてくれたような気がしていた
きっと隼人の感情が、そう感じたのだろう

いつも孤独を感じていた少年は
何か熱いものが胸にこみ上げて来るのを感じていた。

その瞬間
電車が降りる駅に停車していることに気がついて・・・
あわてて花を抱えて小走りに下車した。

改札を抜けるとそこは静かな町並みだった。

確か・・・

少年は何年か前に行ったことがあるだけの記憶をたどっていた。
その時はお母さんと一緒だった。

この道をまっすぐに行って
その角の竹林を通り過ぎて小高い丘を登れば
確か…

駅から30分は歩いただろうか?
隼人は、やっと目的の場所にたどり着いた。

それはもう一つの家族が眠っている場所だった。

親戚家族がいないと想っていたらおばあちゃんがいたと言う話
そして初めての対面は葬式だった。

数年前に来たときは沢山の人がいた。
でも 墓石の前で皆の真似をして両手を胸の前で合わせた時
心が静まり落ち着いたのを覚えていた。

いつかひとりでここへ来たかった。

唯一の家族の元へ

なかなか来れなかったけど
お母さんの唯一の家族の場所 おばあちゃんの眠るここへやってきたのだった。

その丘から海も見えた。
海から優しく届く潮風が気持ちよくて静かな場所でもあった。

少年は記憶にある姿を見よう見真似で…
花をたむけて
手を合わせた。

何をお願いするわけでもなく
目を閉じて…

聞こえてくるのはかすかな風の音が耳にぶつかる音だけ…

心が静まると
電車でのあの言葉が蘇ってきた
「色々あるけど頑張るんだよ」
再び心に響いた言葉は
まるで眠っているおばあちゃんからの言葉のように
隼人に聞こえ始めた。


天気は良くて暖かな春の日
隼人は少しピクニック気分でもあり、
何と言っても、一人でここまでこれた達成感に高揚していた。

お母さんがお昼ご飯にと用意してくれたおにぎりを3つ持ってきていた。
その一つをお花の横に置いて

遠くに見える海の先の水平線を眺めて残りのおにぎりを口にした。
そのおにぎりの味は塩味が利いていて、ちょっぴり大人になった気分もして美味しかった。

ここで眠っているおばあちゃんと隼人は生前一度も逢った事が無かった。
ただ両親以外に身内がいたことを知って、
それだけで救いようのない孤独感から開放されたような気がして
一人で来れるまでには数年かかったけど
会った事が無いおばあちゃんがだけど
おばあちゃんが存在していた事実は今の自分の心の奥底でいつまでも生きている…
心の隠れ家… ここは隼人にとって、そんな"安息の地"とも言える場所になっていた。


日もどっぷりと暮れ、気を抜くとすぐにでも気持ちが暗くなるような空気が流れる両親の待つ家に
隼人の元気な声が響いた。
「ただいま!」
その声は確かに無邪気な少年の声だったが
そこから伝わってくる響きの中には、少し大人になったような逞しさと優しさが溢れ
薄暗い家に、小さいが力強い、確かな灯を点した。


ちょうどその頃…

駅の傍の花屋では、はるかが綺麗な花達に水をやりながら、数年前のおばあさんの言葉を思い出しているところだった。
「あれから3年…たしかこんな季節だったなぁ」
あの時と今の自分を比べて・・・
自分の内面で成長した心を確信していた。
花の命を大切にする事と同じように
今のはるかは、自ら自分の命を台無しにするような馬鹿なまねはしない大人になっていた。

誰でもが出会うあの日の言葉…
はるかは、3年前に出会ったその言葉と共に穏やかに生き
そして、小さな隼人は、
今、その言葉と出会ったばかりだった…


◆   ◆

707e3809.jpg居場所
誰にでも必ず、それぞれの心地良い場所があります。
ただそれを見つけることが難しいのかもしれない。
あなたは、本当に必要な場所をみつけていますか? そして、そこに居ますか?
まだならば、すべての出来事に肯定的に心を開いてください。
ヒントは毎日あなたの周りを彷徨っているはずです。

SHORT STORIES『 if... もしも 』scene#4 は5月下旬に公開予定です。お楽しみに。 
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プロフィール
HN:
ikokoro
性別:
女性
職業:
メンタルセラピスト
趣味:
心理・科学・CG・PC・DNA
自己紹介:
心に何か伝わると嬉しいな。
■ Twitter 発信中!
ikokoro 心に何か伝わるメッセージを発信。 ikokoro_book 140文字以内1シーン物語も発信中。
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