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出来事から感じられる大切なメッセージを描いたオリジナル短編小説シリーズ『if... ~もしも~』『Why?』を不定期執筆中。現在Twitter ikokoro & ikokoro_bookを発信中。ミニ短編だよ。(^^;)140以内なの!
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仕事が終わって・・・
終電数本前の時間の電車を降りて

夜道を
自宅に向かって歩いている女性

今日はなんだか冷える
春なのに夜だからかな?

足早に夜道を歩いて
バス停から自宅まで歩いて10分
その10分が早く感じる時と
長く感じる時がある

今日は遅く感じる時だった。

いつもは携帯を眺めながら
メールに返信したり
メールを読んでいたり

友人と話しながら自宅までを過ごしているのに・・・

今日に限って
こんな時間だから電話も出来ず
足早に自宅に向かう

あたりは商店街の中
人気は無いけど
傍に小さな家が立ち並び明かりは十分だった。

しかし
そんな家庭のぬくもりの商店街は
一瞬で女性の心を不安に包んだ。


・・・

 

同じような速度で近づく足音

コツ コツ コツと革靴の音が
商店街に響き渡る。

それは女性だけのものではなかった。

その足音をかき消すように歩く人の気配

それでも
何か人の存在を感じる

何が恐怖に陥れるのか?

闇ばかりではない

人間の脅威ほど
恐ろしいものはない事を皆知っている。

女性は足早に自宅へと向かった。

ほんの少し早く歩いて(耳をすましながら・・・)

明らかにその足音は聞こえる

そして周りには誰もいない。

自宅が見えてきたと思った瞬間

ほっとしたのもつかの間の出来事だった。

何かが大きく体当たりしてきて
足をくじいて倒れてしまった。

「ぎゃーぁぁぁぁ~!」

恐怖のあまり目を閉じたまま
身動きが取れなくなってしまった。

誰かが走り去ってゆく人影がほんのり見えた
でも
恐怖で涙が出てきて
視界は揺れていた。
そこへ後ろから走り声を掛けてくれる女性の声

息を切らしながら声を掛けてきた。
「ね~~ぇ大丈夫?」
「立ち上がれる?」
その女性は全身を点検するかのように
引きずる足をあちこち軽く押さえて
「あ~ちょっとくじいたかもね~」
「でも骨には異常ないから!大丈夫。」
「帰ったらシップしておきなよ。」

私は
全身震えが止まらなくて
小さな声で「はい」としか言えない

「ね~何か捕られなかった?」
「何もされなかった?」
私は小さくうなずくだけだった。
「じゃ~よかったわね。」

声を掛けてくれた女性は優しく気遣ってくれて
「家はどこなの?」との質問にゆびを指す私。
ゆっくりと
マンションの前まで付き添ってくれた。

小さい声で
「ありがとうございました」と頭を下げたものの
震えが止まらなくて
それ以上言葉も浮かばないまま

私は振り返ることすらしないまま
恐怖のあまり
その女性の姿を見る事はなかった。

部屋が明るくなり
気がつけば自分の部屋に座り込んでいた。

どれくらい座ったままだろう。

声を掛けてくれた女性の声しか記憶に無い。

「大丈夫?」あの言葉だけは思い出せる。

ぶつかってきたのはどんな人かさえわからない

それが本当だったのか?

それが本当に起きたのかどうかの証は
くじいた足の痛みが物語っていた。

足をさすりながら
シップをした自分の足を見つめて
明るくなった次の日の朝も
思い出すと全身が硬直して
震えが止まらなかった。


その日から
夜道は恐怖に包まれる帰宅に変わった。
出来事は全身に記憶として残されているかのように
夜道を通るたびに走り出してしまうのだった。

気がつけば
夜外に出られなくなっていった。

そしていつしか
外出も仕事も出来なくなり
部屋に閉じこもる日々が・・・

こんな生活はいけないと想い
嫌な帰宅の道を回避する為に引越しもしてみた。

でも・・・
恐怖は消えなかった。

「なぜこんな事に
巻き込まれたの?」

「なぜ?私が・・・」

自分ではこんな生活をしていてはいけないと
そう思っても恐怖は夜になると心を凍らせてしまう


そんなある日
同級生の友人が部屋に訪問
元気が無いことや外出が出来なくなったうわさを耳にして
心配で来てくれたようだった。

今まで
誰にも
そんな詳しい経緯を話してはいなかったのだが
友人は何も躊躇もしないで
質問してきた。
「何で外に出られなくなったの?」
悪気も無く聞かれて
「実は・・・」と数ヶ月前に起きた
恐怖の話を涙ながら話していた。
なぜ涙が出るのか?わからない。
人前で泣いたことなどないのに・・・

その友人は
「あのさ~その声を掛けてくれた女性は誰なの!」
「その人すごいよね~」
「やさしいと言うか!」
「親切と言うか」
「しかも貴方は「はい。」と指を指しただけ」
「同じ女性だよ!」
「その後 一人で貴方を送った後帰ったんでしょ」
「すごくない!」
「私にはできるかな???」
「ね~どんな女性なの?」

「は?」

私は目が点だった。
なんだか怒れてきて・・・
「あのさ~」
「恐怖を感じて欲しいんだけど~~~ぉ」
「怖かったんだからね~」
「痛かったんだからね~」
気がついたらぶつけていた。

心配して来てくれた友人に対して・・・

「あ!」

・・・

なんだかバカらしくて
大笑いしてしまった。

「あははははっ~~~」
二人でなぜか大笑いしていた。

私はいつしか
被害者に陶酔していたように
自分を客観的に感じていた。
そしたら笑えてきて・・・

その瞬間
疑問に包まれた。
「だれだったんだろう?」あの女性。

二人で記憶をたどって話をフォーカスしてみたけど
着ていた洋服すら全く記憶になった。

「身長は?」
「髪の長さは?」
「目は大きいの?」

質問攻めにあったけど
何も記憶に無かった。

ただ・・・
声しか覚えていない。

 

「大丈夫?」と・・・その声は優しさだけではなく
芯の強さや安堵感も感じていた。

ほっとしたから立ち上がれたのかもしれない。
そう・・・
「ほのかに柑橘系の香りがしたわ!!」
いい香りだったもの~~~

あの香りと声は想い出せるのに~

友人はイタズラな笑顔で私を見つめて

「よし!探さない?その香り!」

なんだかワクワクして
気がつけば香水の専門店の前に私達は来ていた。

「きっとOLでお洒落な香水だと思うのよね~
柑橘系さえわかればプロにお任せ
後は運と偶然しかないわね。」

柑橘系を店員にそろえてもらい
ドキドキしながら香りの記憶を蘇られていた。

「ん~~~なんだか違う」
「違うな~」
沢山の香りで
鼻の嗅覚がおかしくなるたびに
なぜかコーヒーマメの香りをかいでトライして時間を過ごしていた。
店員さんの協力で
何種類の香りを嗅いでいただろう

「あ!これかも・・・」

もう一度嗅覚をクリアにして・・・
「あ!これだわ!!あの女性の香り」

「すいません!これ下さい!」

驚いたのは友人だった。
「え!お買い上げなの?」
「知りたかっただけなのに・・・」
「その人になりきるつもりね。」笑顔であきれている友人

その香りは
いつもその彼女が傍にいるような気がした。
そしてそんな女性になりたいと思うかのように憧れでもあった。

しかしいつしか
その香りは夜道も暗がりも忘れさせてくれていた。
その恐怖の瞬間よりも
もっと大切な事をその香りから(女性は)教えてくれたような気がした。
それを見つけさせてくれた友人にも感謝。
同じ香水をプレゼントしたけど好みが違ったらしい。

 

今の私に必要なものは
声しか知らないけど・・・
その人が使っていた香りだった。
やさしさや勇敢さがいっぱいつまったこの香り
それがいつしかお守りに変わっていた。

 

数年後
困っている人に気づいたら
私は「大丈夫ですか?」と声を自然と掛けられる女性になっていた。
引きこもっていた私はもういない。

嫌な出来事だったけど同時に素敵な人との出会いも起きていた。
(しばらく気がつかなかったけど・・・)
他人からの恐怖  他人からの親切 友情 


******

悲劇から
目を背けないでほしい
悲劇の中に大きな”気づき”があります。

全ての出来事は
意味があって起きているようです

悲劇から何かの”せい”にすることは
抜けられない渦に巻き込まれるようなものです。

その出来事から
貴方だけの感じる全てを受け取ってください。
悲しみの裏に愛があります。
苦しみの裏に愛が隠れています。

その愛を
見つけてください。

強くなれるから・・・
何かを見つけ出せるから・・・

***********

 

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プロフィール
HN:
ikokoro
性別:
女性
職業:
メンタルセラピスト
趣味:
心理・科学・CG・PC・DNA
自己紹介:
心に何か伝わると嬉しいな。
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