出来事から感じられる大切なメッセージを描いたオリジナル短編小説シリーズ『if... ~もしも~』『Why?』を不定期執筆中。現在Twitter ikokoro & ikokoro_bookを発信中。ミニ短編だよ。(^^;)140以内なの!
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もしも未来の自分が現在に存在しているとしたら・・・
もしも過去の想いが現在も存在していたら・・・
どこからともなく訪れるサインは
自分自身へのメッセージだったとしたら・・・
あなたはそのメッセージを受け取ることができるだろうか?
TMOがお届けするこのショートストーリーズ『if ~もしも~』は誰の目の前にも必ず現れる「よりよく生きるためのメッセージ」が様々な年齢、性別、職種の人たちの前に唐突に現れる不思議な瞬間を描いています。
もしも過去の想いが現在も存在していたら・・・
どこからともなく訪れるサインは
自分自身へのメッセージだったとしたら・・・
あなたはそのメッセージを受け取ることができるだろうか?
TMOがお届けするこのショートストーリーズ『if ~もしも~』は誰の目の前にも必ず現れる「よりよく生きるためのメッセージ」が様々な年齢、性別、職種の人たちの前に唐突に現れる不思議な瞬間を描いています。
そのメッセージが主人公に届ける『人生の調和』をしっかりと見つめてください。
心穏やかに澄み切った気持ちで…
心穏やかに澄み切った気持ちで…
★ ★
夕焼けの美しい時刻
救急車がけたたましいサイレンを鳴り響かせながら
病院に到着した。
病院の救急扉からは、看護婦と救急担当医が数名飛び出してきた。
救急車の中から運び出されたのは呼吸器と点滴をつけられた少女。
その傍らには泣き叫ぶ母親の姿も・・・
その少女の洋服は赤く染まっていた。
救急隊とその病院スタッフの対応は真剣そのもの
緊迫感の中、一刻を争う緊急処置が始まった。
少女が運ばれてきたのは"命を助けたい気持ちの人のいる場所"。
医者とスタッフはベストを尽くして少女の命を死の闇から救い出そうとしていた。
この少女の名前は武田はるか15歳
自殺未遂を起こして病院に緊急搬送された。
手首には生々しいいくつかのためらい傷が。
過去にも何度も未遂事件を起こしてここに運ばれているのを知っているスタッフ全員がその現実に唖然としていた。
この少女に何があったのか?
スタッフは何か思いつめるような問題があるのだろうと察知していても
それ以上は関与できなかった
それ以上は専門分野の仕事でもある。
命を惜しまない人
それを救う人
患者が、延命や治癒の手を求める不思議な場所
それが病院である
はるかは目が覚めた
自分が生きている現実に苛立ちを覚えて
暴れた。
「何故助けるの? なぜ死なせてくれないの?」
母親はどうすることも出来ず部屋を出て行った。
担当医が優しく"どんな具合か"をたずねても答えることさえせず窓の外を見つめていた。
それもそのはず
死にたい少女
死なせる訳にはいかない医者
それぞれの役割も想いも180度違うのだから・・・
看護婦も担当医もひとまず役割は終わり
精神科の専門医にお願いすることにしてカウンセリングを奨めた。
入院中は強制的にただ話しをさせられるだけの場に何度も行かされた。
過去にも何度か精神科でカウンセリングを受けたことがあるが
話をしても医師は何も答えずメモを取るだけ
そんな時間は無駄だとわかっていた。
今回は話をする気も無くただ黙ったまま時間を過ごした。
相手も黙ったまま。
そんな意味のない時間が過ぎていった。
入院中は退屈だった。
消灯が過ぎても眠れなくて
病院内をうろうろと歩き回っていた。
入院患者が数人集まっている場所が目に付いた
その中にうすぐらい闇の中で座っているおばあさんが見えた。
そこは喫煙所
タバコを吸うわけでもないのに静かに座っているおばあさん。
何故そこにいつまでもいるのか?
始めはタバコを吸っていた人も吸い終わるとそれぞれが思い思いに自分の部屋に消えていった。
はるかは、ウロウロしながらいつまでも座っているおばあさんが気になっていた
まさか幽霊ではないよね? と目を疑うほどに静かに座っているおばあさん。
空気のように自然にその場に溶け込んでいるせいか
はるかは、引き寄せられるようにおばあさんの傍に座ってしまっていた。
あまりに物静かに座っているのでペコリと会釈してみると・・・
おばあさんも笑顔で会釈を返してくれた。
その笑顔は優しく
作り笑いや適当な挨拶なんかではなく心和ませてくれる笑顔だった。
病院に来る数日前から人とまともに向き合っていなかったせいなのか
なんだか自分の心が和んでいるのを実感していた。
何故なのか?それはわからなかった。
はるかはつい言葉を発していた。
「ここでなにをしてるの?」
するとおばあさんは・・・
笑顔で振り返りこう答えた。
「生きている実感を味わっているんですよ」と・・・
はるかは何を言っているのかわからなかった。
手首の包帯を隠しながら
心の中で「何を言ってるんだろう?意味不明だわ~ボケているのかしら?」
そんな疑問もよぎっている瞬間に
おばあさんは
「あなたにはこれから素晴らしい人生が待っていますよ」とそれだけ告げてゆっくり立ち上がり薄暗い廊下を静かに歩いて消えていった。
そこへ
タバコを吸いに一人の女性が現れた。おばあさんと入れ違いで・・・
爽やかな雰囲気のその女性は話し相手が欲しかったのか「今日はおばあさん早く部屋に戻ってしまったのね~」と残念そうにつぶやいた。
はるかはついつい
「あのおばあさんとは仲がいいのですか?」と聞いてみた。
すると女性は
「私は検査入院で1週間ここにいるけど・・・
この場所は喫煙者と寂しい人の集まる場所になっててね~
それぞれが気持ちを話してそれぞれの部屋に戻ってゆくの・・・
おばあさんはね噂では癌で末期らしいわ~家族も無いらしいの
誰も何も言わないけどここにいる人の多くがいろいろな問題や苦しみ 不安を抱えているけど
希望の無いおばあさんのあの優しい笑顔を見ると"生きていること"を感謝しなきゃ~って思えるわ」
「あなたは若いから・・・うらやましいわ~これから何でも出来るじゃない!」
その女性もそういってタバコを消し
「おやすみなさい!」と挨拶をして暗がりへ消えていった。
はるかはしばらくタバコの煙の匂いの中で呆然としていた。
あの笑顔で優しそうなおばあさんが死んでしまう
いなくなってしまう。
涙がただただ流れていた
知らないおばあさんなのに・・・
生きられないなんて・・・
人を想い涙を流すなんて初めてなのかもしれない。
でもはるかは泣いていた。
誰かがいなくなる悲しみを感じていた。
母親の気持ちが今わかるような気がした。
数年後
爽やかな女性の言葉と
そのおばあさんの言葉を胸に
2度と自分から命を絶とうとするような事はしなかった。
それは希望ある言葉のおかげ
あの言葉・・・
「あなたにはこれから素晴らしい人生がまっていますよ」
「何でもこれから出来るじゃない!」
現在はるかは花屋で働いている。
それは命の尊さを感じられる美しい花たちに囲まれて
おばあさんへの感謝の気持ちと共に・・生命を見ていられるから

命を自ら絶とうとするものの心は
救うものでは癒されない
命の無いものに癒されてこそ、目を覚ますのかもしれない
| SHORT STORIES『 if... もしも 』scene#3 居場所 は5月中旬に公開予定です。お楽しみに。 |
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プロフィール
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ikokoro
性別:
女性
職業:
メンタルセラピスト
趣味:
心理・科学・CG・PC・DNA
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