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今日もその『何か』は
静かな風に乗りながら人の心の声を受け取り
魅了されるままひきよせられてゆく
人の心の声は
葛藤ばかりではない
喜怒哀楽の心の声だけとは限らない
その何かは
沢山の人の心の中からの言葉が飛び交う場所へ向かっていた。
そこは小さな村のはずれにある古い建物で
沢山の本が並んでいた。
そうここは
町外れの小さな図書館
3階建ての建物は古い書物でいっぱいだった。
人の流れに乗り
その何かは中にはいり込んだ。
正面には螺旋階段と吹き抜け
その何かにとって心地よい空間だった。
人意外にも多くの
感じられるものがあったからだ。
どうやら
ここは神聖な場所であり
人が違う世界を覗くことの出来る
希望と言うものが集まった場所でもあるようだった。
それと同時に
過去の歴史が沢山詰まった空間でもあるため
それに携わったエネルギーも同時に感じられた。
人が何かを
探求する姿勢ほど
素晴らしいものは無い
心の声(想い)で読書する人達は
それぞれが
その本からの世界を
まるで思考の中で見せているようだった。
文章から何かを感じ取り
同時に人の心へと
変化や高揚感やワクワクしている様子も感じられる。
時には悲しみも疑似体験していた。
丁度そんなときだった。
そこへ
大きなドアから一人の女性が入ってきた。
少し呼吸が乱れている。
何かを探しにやってきたのは感じられる。
しかし心は書物には無かった。
彼女はここへ何しに来たのだろう?
何かを探しにやってきたのは感じられるが
感じられる彼女の心はザワザワしたものだった。
それを感じ取ったのは
その何かだけではなかった。
一瞬
空気が止まったかのように
感じられる瞬間が起きようとしていた。
吹き抜けの中央付近に来た時
女性は突然気を失って倒れてしまった。
静かな空間は一瞬で
凍りついた瞬間も通り過ぎ
係りの人が駆けつけ大騒ぎになった。
周りにいた人も駆け寄って声をかけた。
「大丈夫ですか!?」・・・
誰よりも
真っ先に傍にたどり着いたのは
そのいつも空間を走り抜けている
『何か』だと言うことは誰も知らない。
吹き抜けの真上
天井から数センチの大きな照明ランプそばにいた『何か』は
気がつけば女性のすぐ顔の傍に来ていた。
意識を失う瞬間
見つめられたような・・・・
そう感じるのは心の声が聞こえたからだった。
「あっ・・・あなたは・・・だ・れ・」
か細いその声は目をゆっくりと閉じると同時に
聞こえなくなっていった。
どう彼女に見えたのかはわからない。
しかし
そんな意識の薄れゆく瞬間に
余計な先入観が消えて
受け取りやすくなる瞬間があるようでもあった。
お互い驚いた瞬間があるものの
女性は建物の数人のスタッフに抱えられるまま
休憩室へ運ばれていった。
数分もしないうちに
女性は目を覚ました。
「あの・・・ここは?・・あ!すいません」
スタッフが事情を説明すると
女性は慌てて
「ご迷惑をおかけして・・・」と
頭を下げて申し訳なさそうにしていた。
その様子を女性の肩越しから
『何か』が見つめていたのは
言うまでも無い。
図書館のスタッフは
「気分はいかがですか?きっと軽い貧血だと思いますが」
「もうしばらくゆっくりしてから立ち上がった方がいいでしょう」
と冷たい飲み物と数個のクッキーをさしだした。
女性は
「すみません。親切にしていただいて・・・」
ゆっくりと飲み物を受け取りながら
「ありがとうございます」と頭を下げた。
女性は・・・
「あのー、私が倒れる時に
光が見えたのですが・・・あれはなんですか?」
スタッフは首をかしげて
「頭は打たなかったかい?」と聞き返していた。
傍でほっとしていたのはその光の張本人である『何か』だった。
これ以上聞いても仕方が無い
女性は気にはなるものの
何も無かったかのように問いかけることを避けて
ゆっくりと立ち上がった。
まだ軽く立ちくらみが感じられる。
その一瞬の瞬間に
あの小さな光を見たような気がした。
<何?あの小さな光とその正体は・・・>
心のどこかで彼女は自問自答を繰り返していた。
それを密かに・・・
いいえ密かではなくそこに存在している何かは受け取っていた。
彼女の探究心は見えない存在へと向けられている。
そう
その彼女は現実的な環境による
人間関係でのめまぐるしいほどの忙しい毎日におわれて
気がつけば数ヶ月
睡眠は取れているものの
自分自身の心への潤いをすっかり忘れている状態だった。
しばらくすると女性は
飲み物とほんの少しのクッキーをたいらげて
慌ててバッグから紙とペンを出し
「ありがとうございました。ごちそう様でした。」と書いて
空になったグラスの傍に置いて
立ち上がると休憩室を出るなり
書籍の棚の方へまっすぐに進んでいった。
何を探しているかをその何かだけは知っていた。
「光・・・光は・・・光の世界・・・光の存在・・・」
その何かは密かに想った。
光と言う言葉は私の名前なのか?・・と
自分の姿は自分で見ることなど出来ない。
しかし他の誰かからは見つめられる。
ある瞬間だけ・・・
それがこの世界での
光と言うものだと始めて気がついた瞬間だった。
その『何か』は光と言う種類であることを知ることになった。
どんな光でどんなものかさえ誰も知らない
比べるものが無ければ自分の姿など見えないのだから
ただそう呼ばれる種類の一つに過ぎないことは知っているが
人に確認されたことが何よりも存在を実感できる喜びの瞬間でもあった。
彼女は気がつけばいくつもの書籍を集め
両腕にいっぱい抱えて片隅で読み始めた。
その本の数々のタイトルはすべて光のついたものだった。
気がつけば彼女の心には
忙しい毎日とかわらないように見える読書でもあるが
実は唯一
現実から引き離された別の世界のお話を読むことで
いままでの心の疲れを癒し休ませている瞬間でもあることを他の誰よりもその光は知っている。
光と言う名を受け取り
喜びを感じながら
夢中になって読書を続けている彼女を後にして
その光は次の訪問者と入れ違いに図書館を後にした。
この世界での名を持つ喜びは
大空での感じる感覚全てがいつもより一段と違って自由であり
存在意義を感じられる充実感でいっぱいだった。
存在することは認められたとき初めて
心から何か大きなものが感じられ伝わり喜びに変わるのかもしれない。
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そう
自分探し 内面と向き合う 探究心
心を見つめる時間
そんな時間が必要だったのは
彼女も光と言う名を持つ存在も同じだったの
かもしれない。